肺線維症の診断目的に得られた肺組織の一部を用いて以下の結果がえられた。 1.肺線維症肺組織検体より得られた線維芽細胞(IPF-fibroblast)は、非間質性肺炎患者より得られたもの(Non-IP-fibroblast)と比較してTGF-bの非存在下でもa-smooth muscle actin(a-SMA)を発現し、収縮力も強くmyobibroblast様のphenotypeをしめした。 2.TGF-b刺激によりIPF-fibroblastに発現しているa-SMAは、より強く発現し、また、Non-IP-fibroblastもa-SMAを発現した。Non-IP-fibroblastのa-SMA発現はγ-Interferonの存在により減弱消失したが、IPF-fibroblastのa-SMAの発現は減弱しなかった。 3.IV型collagenの発現についてもIPF-fibroblastでは恒常的発現が認められ、a-SMA同様γ-Interferonの存在により減弱消失はなかった。 4.γ-Interferonの存在により減弱しなかったIPF-fibroblastのa-SMA発現は、遺伝子導入によるSmad7過剰発現により減弱した。 以上よりIPFのfibroblastはγ-Interferonのシグナル伝達分子であるStat1-Smad7発現経路の異常が存在する可能性が示唆された。
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