研究概要 |
3年計画で肺線維化の進展の機序を修復再生という観点から細胞内分子を人為的に制御して分子生物学的に明らかにすることを目的として研究を行った。研究の中心は組織の修復再生に中心的役割を果たしていると考えられるTGF-βに焦点をあてTGF-βの細胞内のシクナル分子数種のSmadを遺伝子工学的に過剰発現させる方法で肺線維芽細胞の形質がどのように変化するかを多角的に検討した。線維芽細胞のSmad分子の発現を変化させる目的で相同遺伝子組み換え技術により活性型2種類と抑制型2種煩のSmad分子を過剰に発現するベクターシステムを構築し、Smad3分子の過剰発現のみで正常肺線椎芽細胞のmyofibroblastへのphenotypic modulationを、またSmad7過剰発現で抑制できることを示した。同様の現象をが肺線維症てSmad3,Smad7の発現をとおして評価した。活性型smad3の発現は、肺線維化肺において極めて強く、また抑制型Smad7の発現は、低下していることを明らかにした。抑制型Smad7遺伝子変異はなくepigeneticな制御か関与が疑われた。更に肺線維化組織の筋線維芽細胞は、Smad7の過剰発現により線維芽細胞の形質へ戻ることを明らかにした。以上成果を踏まえ肺線維症の肺組織におけるSmad,TGF-βを含めた網羅的的な線維化、修復関連遺伝子発現の変化をしらへたところSmad3,Smad7の発現の程度だけがコントロール検体と大きな変化は認めず、Smad3のリン酸化またSmad7の発現の抑制等のepigeneticな制御か線維化には関与していることが強く示唆された。今回の研究で冶療への糸口としては、TGF-β以下の細胞内シグナル分子を標的とした治療怯へ発展させることが可能であることを示した結果が得られたとともに今後、線維化進展に関与するepigeneticな制御をおこなう因子の解明へと研究を発展させていくことができると考えられる。
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