多発性硬化症における臨床的・免疫学的多様性とその分子遺伝学的背景因子の検討

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14370201
• 研究機関: 北海道医療大学
• 研究代表者: 田代 邦雄 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (90002154)
• 研究分担者: 菊池 誠志 北海道大学, 医学研究科, 助教授 (10271660) ; 森若 文雄 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (30142722)
• キーワード: 多発性硬化症 / HLA / osteopontin / ケモカイン / 髄液 / サイトカイン / 疾患感受性遺伝子 / MBP反応性T細胞

研究概要

1)昨年度、osteopontin (OPN)の遺伝子多型が、MSの発症や、発症年齢に深く関与していることを報告したが、osteopontinのMSにおいて果たす役割を引き続き検討していく。臨床症状にともなう髄液、血清中のOPN濃度、もしくは発現の変化、脱髄病変におけるOPNの発現の検討などを行っていく。また、昨年度MSと創刊する可能性があると発表した多型がどのような働きないし影響を持っているのかも、引き続き検討していく。
2)すでに蓄積されている髄液の各種IgG profiles、QAlbなどの情報の結果をもとに、臨床背景-MRI所見-髄液所見-HLA profileの関連を検討する。
3)保存されているMS患者及び健常対照者のDNAを用い、INNO-LiPA HLA kit (INNOGENETICS)を用いてHLA typing (DRB1,DQB1,DRB3,4,5,DPB1)を行う。また、ヒトMSのgenome scanのデータおよびEAEの知見から、5p12-14付近に疾患感受性遺伝子のひとつが存在していることが推定される。同部位に存在し、免疫機構、髄鞘形成などとの関連が想定可能な以下の遺伝子の多型を検討し、MSの感受性あるいは経過、予後などとの相関を分析する。プロラクチン受容体遺伝子・成長ホルモン受容体遺伝子・Cadhelin-12遺伝子・GDNF遺伝子・補体6、7および9遺伝子・methionine synthetase reductase遺伝子や、各種サイトカイン、ケモカイン、及びその受容体遺伝子等の検討を行う。
DR2(+)-OCB(+)、DR2(-)-OCB(+)、DR2(+)-OCB(-)、DR2(-)-OCB(-)、DR4(+)-OCB(+)、DR4(-)-OCB(+)、DR4(+)-OCB(-)、DR4(-)-OCB(-)の患者および対照正常者からリンパ球を採取し、PLPおよびMBPに対する反応性を比較検討する。またPLP、MBP反応性T細胞を樹立し各種サイトカイン刺激に対する反応性及びサイトカイン分泌能についての違いをHLA profile、臨床病型により比較検討する。

研究成果

• [文献書誌] 深澤俊行, 菊地誠志, 田代邦雄: "特発性炎症性脱髄疾患-多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎"脊椎脊髄ジャーナル. 16. (2003)
• [文献書誌] Niino M, Kikuchi S, Fukazawa T, Yabe I, Tashiro K: "Genetic polymorphisms of osteopontin in association with multiple sclerosis in Japanese patients."J Neuroimmunol. 136. (2003)
• [文献書誌] Houzen H, Niino M, Kikuchi S, Fukazawa T, Nogoshi S, Matsumoto H, Tashiro K: "The prevalence and clinical characteristics of MS in northern Japan."J Neurol Sci. 211. 49-53 (2003)
• [文献書誌] Miyagishi R, Niino M, Fukazawa T, Yabe I, Kikuchi S, Tashiro K: "C-C chemokine receptor 2 gene polymorphism in Japanese patients with multiple sclerosis."J Neuroimmunol.. 145. 135-143 (2003)
• [文献書誌] Fukazawa T, Kikucih S, Niino M, Yabe I, Hamada T, Tashiro K: "Multiphasic demyelinating disorder with acute transverse myelitis in Japanese."J Neurol. 250. 624-626 (2003)