研究課題/領域番号 |
14370204
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
道勇 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90293703)
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研究分担者 |
祖父江 元 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20148315)
犬飼 晃 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (30314016)
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キーワード | 球脊髄性筋萎縮症 / アンドロゲン受容体 / CAGリピート / トランスジェニックマウス / 去勢術 / LHRHアナログ / HSP70 / 蛋白分解 |
研究概要 |
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子内のCAGリピートの異常延長により、運動ニューロンなどが特異的に変性死に陥る神経変性疾患である。我々はchicken β-actinプロモーターの調節下で異常延長したCAGリピートをもつヒトの全長AR遺伝子を発現するトランスジェニックマウスモデルに種々の治療的介入実験を施行した。まず、雄の去勢術に運動機能障害や核内変異AR蓄積などの病理所見に顕著な治療効果を認め、逆に雌のテストステロン投与には症状や病理所見の著明な増悪効果を認めていたため、臨床応用を念頭に、精巣からのテストステロン分泌を抑制するLHRHアナログ(leuprorelin)についても有効性を検討した。そしてLHRHアナログにも、運動機能障害の著名な改善効果や核内変異AR集積の著明な減少効果があることが判明した。一連の研究結果から、テストステロン濃度の高い雄では、変異ARの核内蓄積が促進されて病態が進行し、逆に治療によるテストステロン減少により核内蓄積が抑制されて治療効果が発揮されると考えられる。 次に、異常タンパク質による神経細胞障害を防止する試みとして、分子シャペロンであるHSP70の効果に注目し、SBMAトランスジェニックマウスとHSP70高発現マウスとの交配によりダブルもトランスジェニックマウスを作成したHSP70高発現に伴って変異ARの核内凝集体形成は抑制され、症状、病理所見は著明に改善した。さらに同時に変異ARのモノマーの量も減少していた。すなわち、HSP70は変異ARの分解を促進し、変異ARの蛋白量を減少させ凝集体形成を抑制し、神経障害を軽減すると考えられる。
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