研究課題
[1-123]-5-IA-85380(以下5-IAと略す)SPECTによるニコチン受容体結合能定量測定法に関する平成14年度までの研究において、精度の高い定量値を得るためには、長時間の脳組織放射能および血中濃度の検討が必要であることが明らかとなった。平成15年度は、健常者を対象とし6時間の検討を行った。方法:喫煙歴のない健常ボランテイア6名を対象とし、約165MBqの5-IAの静脈注射と同時に、2時間のdynamicSPECT収集、続いて3、4、5、6時間を中心とするSPECT収集を施行した。大脳皮質、視床、脳幹、小脳に関心領域を設定し、放射能の時間変化を求めた。動脈血からTLCを用いて求めた代謝産物を除いた5-IAの放射能を入力関数とし、2-compartment modelおよびLogan plotを用いてトレーサ分布容積(DV、DVg)を求めた。結果:平均DVは、前頭葉14.6±2.5(mean±SD)、頭頂葉14.2±2.3、側頭葉14.6±2.4、後頭葉13.2±2.6、基底核17.6±3.7、視床34.3±6.9、脳幹24.7±5.7、小脳17.8±2.0であった。また、DVgとDVの間に有意差を認めなかった。静注より90分間、2、3、4、5時間のみのデータを用いて求めたDVは6時間収集のデータと比較して、DVが高値の部位では収集時間が短くなるに従って低下し、視床ではそれぞれ17.2、10.8、8.1、3.2、1.5%の過小評価となった。しかし、大脳皮質のDVは収集時間によって有意差を認めなかった。結論:視床を含めた全脳のニコチン受容体結合能の定量測定には少なくとも4時間の収集が必要であった。しかし、大脳皮質に限定すれば静注より90分間のデータ収集でも定量測定が可能であると考えられた。
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