研究課題/領域番号 |
14370207
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川又 敏男 神戸大学, 医学部, 教授 (70214690)
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研究分担者 |
向井 秀幸 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80252758)
小野 功貴 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (10243297)
前田 潔 神戸大学, 医学部, 教授 (80116251)
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キーワード | アルツハイマー病 / 神経細胞死 / タウ蛋白 / 蛋白リン酸化酵素 / 蛋白脱リン酸化酵素 / 細胞内シグナリング / PKN |
研究概要 |
細胞内タングル形成と共に広汎な神経細胞死を来して痴呆症状を示す、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭型痴呆、進行性核上性麻痺や皮質基底核変性症など一次変性痴呆症(タウ病)に対する根本的治療薬開発のため、タウ蛋白の機能調節機構であるリン酸化修飾に関わるリン酸化酵素系、脱リン酸化酵素系の活性に同時に影響を与えるような細胞内の蛋白会合メカニズムについて解析した。タウ蛋白のリン酸化酵素PKN、PKC、PKA、Casein kinase 1 deltaや、タウ蛋白を脱リン酸化する酵素PP2A、PP1との会合分子Centrosomal and Golgi PKN anchoring protein (CGNAP)を同定し、CGNAPの培養細胞内分布あるいは神経組織内分布を免疫組織細胞化学的手法を用いて詳細に検討した。種々の培養細胞内部で、CGNAPはcentrosomeに局在すると同時に一部のオルガネラや細胞質にも分布していた。とくに実験動物脳やヒト死後剖検脳組織においては、ほとんど神経細胞に局在し、神経細胞体のみならず樹状突起や神経軸索にも分布して微小管をはじめとする細胞内分子輸送機構やシナプス機能との密接な関連が示唆された。またAD患者脳組織では変性神経細胞内部において、異常リン酸化タウ蛋白に由来する神経原線維変化(タングル)周囲で、一部はタングルの異常アミロイド線維に接してまた大部分は顆粒状の細胞質内分布を示し、小胞体あるいは小胞体由来の小胞との関連が示唆された。アポトーシスを惹起する小胞体ストレス反応に関与し、AD脳組織に出現する免疫反応・慢性反応に密接な関連を持っ転写因子NFkBが、PKNを介して活性化されることが最近明らかになっており、タウ蛋白代謝異常から神経細胞死に至る過程にPKN-CGNAP複合体が関与している可能性がある。
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