研究分担者 |
村上 龍文 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30330591)
萩原 宏毅 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80276732)
貫名 信行 理化学研究所, 脳科学総合研究センター・病因遺伝子研究グループ, ディレクター(研究職) (10134595)
後藤 雄一 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第2部, 部長(研究職) (20225668)
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研究概要 |
caveolinは細胞膜の特殊陥入部caveolaを構成する膜蛋白であり、G-protein,NOS,c-Src,H-Ras,protein kinase Cなど種々のシグナル分子と結合し、シグナル伝達を調節する機能を持つ。caveolin-3は主として骨格筋に発現しジストロフィン糖蛋白複合体とも結合する。1998年に、caveolin-3遺伝子異常による常染色体優性肢帯型筋ジストロフィー(LGMD1C)の家系が報告され,われわれはシグナル伝達の観点からcaveolin-3という分子に着目して筋細胞変性死の分子機構の研究を進めてきた。これまでにわれわれはヒトcaveolin-3遺伝子変異を導入したトランスジェニック(Tg)マウスを作製しシグナル伝達系を中心にその分子病態を解析した結果、(1)caveolin-3遺伝子変異はdominant-negative効果により骨格筋におけるcaveolin-3欠損を引き起こす。(2)caveolin-3欠損筋ではnNOS活性が上昇しており、筋変性の病態機構への関与が示唆される。(3)caveolin-3欠損による筋変性機構にERストレスに関連したアポトーシスの関与が示唆されることを明らかにした。 さらに本研究ではこれまでの研究成果を基盤として、筋変性に関与するシグナル伝達の制御による筋ジストロフィー治療戦略の可能性を検討した。変異caveolin-3 Tgマウス骨格筋において、骨格筋増殖抑制因子であるmyostatinの遺伝子発現が下方制御されていることを見いだし、myostatinを治療ターゲット分子と位置づけた。われわれはmyostatin前駆体のprodomain部分がmyostatin活性を強力に阻害することに着目し、prodomainによる治療パラダイムを考えた。prodomainを変異caveolin-3 Tgマウス骨格筋に導入し、ミオパチー変化を完全に治療することに成功した。
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