研究課題/領域番号 |
14370216
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北畠 顕 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00124769)
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研究分担者 |
三神 大世 北海道大学, 医学部, 助教授 (90250456)
澤田 賢一 秋田大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90226069)
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
岡本 洋 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50260394)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 骨髄由来幹細胞 / 細胞移植 / 心不全 / 血管新生 / 心筋再生 / 免疫学的拒絶 / T細胞 / オステオポンチン |
研究概要 |
本研究では、臨床応用を前提に治療効果が得られる細胞数の確保を考え、ヒト由来"CD34陽性"或いは"CD34陰性細胞"を出発点とし、心筋再生のための骨髄由来細胞の効率的な導入システム開発、すなわち、心臓特異的幹細胞の純化とその評価システムの確立を目的とした。多くの前臨床試験により心筋再生のための細胞移植が心筋梗塞や心不全に対する終局的治療法として注目を浴びていると同時に催不整脈性などの問題を提起している。そこで、本研究では第一に骨髄由来CD34陽性細胞移植による心機能改善効果を検討し、同時に薬物療法ことにACE阻害薬と受容体拮抗薬併用療法との比較を試みた。効率的な細胞導入システムを構築するためには十分な数の骨髄由来CD34陽性細胞が必要となるが、その際自家細胞だけでまかなうことができない。細胞移植にはGVHD対策が重要と考えられる。そこで、心血管リモデリング過程における細胞免疫性サイトカインosteopontinの意義を明らかにすること、CTLA4IgあるいはICOSIgを組み込んだアデノウイルスベクターを用い、T細胞活性化に必要な第二シグナル遮断による抗原特異的細胞性免疫抑制システムを開発した。第3に細胞移植の機序を検討するため遺伝子発現の変化をDNAマイクロアレイ法により解析した。第4に臨床的応用として、動脈硬化性閉塞症患者で下肢で局所的に壊死病変を有する症例でG-CSF治療をした際の治療効果とCD34陽性細胞数の変化を検討した。従来の我々を含めた心筋リモデリングに関する研究結果からも、長期的に安定した組織構築維持を計るためには心筋細胞、保持細胞、微小血管いずれの要素も必須であることが示されている。中でも、オステオポンチンは、コラーゲン遺伝子を活性化し、一方では線維化を促進し、他方では、微小血管構築に関与すること、オステオポンチンKOマウスでは、線維化が完全に抑制されることを明らかにした。同様の現象はアンジオテンシンIIの2型受容体欠損マウスでも観察され、心筋梗塞モデルを作成した際に、心筋リモデリング過程、ことに、オステオポンチンの転写調節因子ets-1の過剰発現を引き起こし、MMP-2の活生化を介し、コラーゲン分解を促進し、脆弱な組織構築となることを確認した。したがって、単純に心筋細胞や血管内皮前駆細胞による心筋リモデリング抑制では不十分でオステオポンチン発現抑制やアンジオテンシンII2型受容体発現亢進を同時に進めなければ心筋再生の適正化は困難であることが明らかにされた。
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