日本人のステロイドホルモン合成、代謝酵素遺伝子の多型決定と血圧への影響の検討

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14370217
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 今井 潤 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40133946)
• 研究分担者: 辻 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20171994) ; 荒木 勉 徳島大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80323038) ; 松原 光伸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30282073)
• キーワード: 遺伝子 / 多型 / 高血圧 / レニン / アンギオテンシン / アルドステロン / ナトリウムチャンネル / コルチゾール

研究概要

平成15年度は以下の点を明らかにした。
1.レニン-アンギオテンシン系における遺伝子多型の解析を続行した。RAASの主要4多型の解析では、アンギオテンシノーゲンのM235T多型が、家庭血圧の程度及び高血圧の発症頻度には影響を認めなかったが、高齢者においてパルス圧に影響が認められ、報告した(Hypertens Res 26:47-52,2003)。
また、アンギオテンシンII受容体1型のA/C166多型を検討し、日本人においては心血管疾患・動脈硬化・高血圧の発症等への影響は低いことを見出し、報告した(Hypertens Res 26:141-145,2003)。
2.上皮性ナトリウムチャンネル(ENaC)の遺伝子多型を検討し、8種類の多型を発見した。いずれも高血圧症の発症に対する影響を認めなかったが、V434M多型は血中ナトリウム濃度に影響している可能性が示唆された。ステロイドホルモン代謝酵素遺伝子(11β-HSD2)の多型を検討したところ、本研究対象者では11β-HSD2に遺伝子多型は発見出来なかった。アルドステロン合成酵素遺伝子(CYP11B2)-344C/Tを検討したところ、単独因子として高血圧症や心血管病への影響が示唆された。現在、これらの遺伝子の研究を続行中である。
3.エンドセリンよりも強力な血管収縮作用を持つウロテンシンIIの遺伝子多型の検討に着手した。ウロテンシンIIは細胞増殖作用を有し、副腎皮質腫瘍中にも発現していることから、高血圧症及び糖尿病との関連を含めて解析を続行中である。

研究成果

• [文献書誌] Matsubara M, Katsuya T, Araki T, Tsuji I, Ogihara T, Imai Y.: "T+31C polymorphism (M235T) of the angiotensinogen gene and home blood pressure in the Japanese general population : the Ohasama study"Hypertension Research. 26. 47-52 (2003)
• [文献書誌] Michimata M, Fujita S, Araki T, Imai Y, Matsubara M.: "Reverse Pharmacological effect of loop diuretics and altered rBSC1 expression in rats with lithium nephropathy"Kidney International. 63. 165-171 (2003)
• [文献書誌] Kikuya M, Katsuya T, Araki T, Tsuji I, Imai Y, Matsubara M.: "A/C1166 gene polymorphism of the angiotensin II type 1 receptor (AT1) and ambulatory blood pressure : the ohasama study"Hypertension Research. 26. 141-145 (2003)
• [文献書誌] Michimata M, Araki T, Ito S, Imai Y, Matsubara M.: "Urinary concentration defect and limited expression of sodium cotransporter, rBSC1, in a rat model of chronic renal failure"Nephron Physiology. 93. 34-41 (2003)
• [文献書誌] Muramatsu Y, Michimata M, Matsubara M, Imai Y, Araki T.: "Expression of S-100 protein is related to neuronal damage in MPTP-treated mice"Glia. 42. 307-313 (2003)
• [文献書誌] Michimata M, Nakamura Y, Yanagisawa T, Imai Y, Matsubara M.: "Vasopressin-independent renal urinary concentration : increased rBSC1 and enhanced countercurrent multiplication"Kidney International. 64. 933-938 (2003)