研究概要 |
平成16年度は以下の点を明らかにした。 1.アルドステロン合成酵素遺伝子CYP11B2のフェノタイプを分析した。CYP11B2の遺伝子多型はデータベース上4多型の存在が報告されているが、日本人では4多型のうち3多型のみが存在し、-344C/T多型は日本人で高血圧と動脈硬化に関係する独立した因子であることを認め、報告した(Hypertens Res 27:1-6,2004)。 2.アンジオテンシンIIの1型受容体(AT1R)のA1166C多型と高血圧との関係を日本人(大迫研究)で検討した。結果、AT1R/A1166C多型は白人とは異なり、日本人では高血圧を発症する主要な因子でないことが判明した(Hypertens Res 27:551-556,2004)。 3.エンドセリンよりも強力な血管収縮作用を持つウロテンシンIIの遺伝子多型を1,200名を対象として解析した。ウロテンシンIIは高血圧・糖尿病・心不全と強い関係があると考えられている。6多型を検討し、うち1つを除いた5多型で、BMIとの有意な関係が認められ、ウロテンシンIIが代謝調節機構に関係していることが示唆された。現在フェノタイプの詳細な解析を続行中である(未発表)。 4.ウロコルチンIII(UcnIII)(別名ストレスコピン)は血管拡張作用を持つ新規ペプチドホルモンである。UcnIIIはコルチコトロピン放出因子(CRF)の2型受容体に特異的に結合し、ステロイドホルモン合成に関与する他、血圧低下作用を有する。ウロコルチンIIIの遺伝子多型と血圧との関連を1,200名を対象として検討した。結果、R91G多型においてGG群はRR群+RG群と比較して外来時拡張期血圧で有意に低い血圧値を示すことを認め、ウロコルチンIIIが血圧調節に関与している可能性が示唆された(未発表)。
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