研究課題/領域番号 |
14370220
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前村 浩二 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90282649)
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研究分担者 |
林 同文 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80313104)
永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60207975)
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キーワード | 日内変動 / 体内時計 / 循環機能 / 分子生物学 / トランスジェニックマウス / 心筋梗塞 / 血管内皮 / マイクロアレイ |
研究概要 |
本研究は末梢組織体内時計の下流アウトプット遺伝子を同定し、中枢と末梢の体内時計が、各組織ごとの概日リズムの形成にどのように寄与しているかを明らかにすることを目的とする。昨年度、clockとBmalを発現するアデノウイルスを培養細胞にinfectionし、cDNA Microarrayにより発現が増加する遺伝子を網羅的に解析した結果、転写因子、分泌タンパク、膜受容体などが体内時計の標的遺伝子の候補として同定された。今年度はその中の転写因子、Dec1の機能について解析した。心臓や腎臓、大動脈などの臓器でDec1mRNAの発現は日内変動を呈した。Dec1はClockとBmalによりmRNAレベルで誘導され、またDec1はClockとBmalによるPer1プロモーターの活性を抑制した。さらにDec1は低酸素でその発現が誘導された。これらのことより、Dec1が低酸素などの環境因子を関知して体内時計のコアフィードバックループを調整する因子として働いている可能性が示された。今後はDNA Microarrayにより同定された体内時計に関連する他の遺伝子群についてさらにその発現パターン、循環機能調節における役割をさらに解析する。次に、体内時計を抑制するタンパクであるCry1が全身あるいは血管内皮細胞特異的に発現するようなコンストラクトを作成し、現在その、トランスジェニックマウスがそれぞれ2ラインと5ライン得られたところである。このマウスにより、中枢の体内時計は正常に保たれ、血管内皮末梢体内時計のみが異常なマウスが期待でき、このマウスでさまざまな循環機能の日内変動を解析することにより末梢体内時計の役割を中枢と末梢に分けて解析できる。本研究により、心筋梗塞の早朝発症機序を初めとする循環器系疾患の日内変動のメカニズムが分子レベルで詳細に解明されることが期待される。組織固有の日内リズム発生のメカニズムを理解することは今後時間に即した治療法の開発にむすびつけられることが期待される。
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