研究課題
今回の実験の目的は、心筋細胞、血管等への分化能を有する体性幹細胞を心筋梗塞部位や高度な冠動脈狭窄の存在により出現している虚血心筋部位に用いて重症・難治性冠動脈疾患に対する効果を検討することであった。さらに、移植した部位に血管新生を惹起するVEGFも同時に注入し、細胞移植の効果が増大するかどうかも検討することであった。C57blackマウスを用い、心筋梗塞を作成した。心筋梗塞作成直後より、骨髄由来の体性幹細胞と梗塞部位に注入を試みた。またHGFをアデノウイルスでその幹細胞に遺伝子導尿宇を行った。治療効果判定に関しては、経時的に心エコードプラ法を施行して収縮能、拡張能、心臓形態を検討した。ドプラ法にて、僧帽弁口のE波A波を検出して、E velocity、V velocity、E/A ratio、deceleration timeを測定した。細胞移植治療および血管新生、心筋保護併用の治療にて効果を検討した。梗塞部位、非梗塞部位のERK、JNK、p38の活性をウェスタンブロット法、AP-1、Sp-1、STAT、ATF-2、NF-kBをゲルシフトアッセイ法により、心筋関連遺伝子のmRNA発現をノーザンブロット法にて測定し、それぞれ経時的に上昇が認められた。また、超音波照射と超音波造影剤の同時使用により心筋組織環境が変化して移植される細胞の生着率が向上することが判明した。In vivoの研究ではマウス、ラットを用いて細胞移植による心筋梗塞後心不全に対する改善効果をした。また今回の検討では、マウス、ラットに下肢の骨格筋芽細胞を用いて細胞移植試み、移植後3日から5日目にGATA4、Csx/Nkx2.5、MEF2などの心筋特異的な転写因子発現を見いだした。難治性心不全の治療の現状を考えると、ヒトにおける心筋細胞再生・新生の技術が今後大いに期待される。また、超音波とその超音波造影剤を使用することにより、その細胞移植効果が増幅する可能性があれば、その臨床応用は早まるものと思われる。今回の研究はこららの点において貢献できたと考えている。
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