研究概要 |
これまでMLLの相手遺伝子としてAF5α、CBP、p300、ABI1、AF17q25、AF5q31、AF10q22遺伝子を単離し、今年度はXq24の相手遺伝子を、cDNA panhandle PCR法によって得られた小さな断片より、ドラフトシークエンス情報により全シークエンスをみいだし、マウスのSeptin6遺伝子と相同性があることが判明した。さらにNUP98の新しい転座相手遺伝子HOXD13をpanhandle PCR法と、白血病細胞のcDNAライブラリーから単離し、Nup98-HOXD13の融合遺伝子を明らかにした。またt(11;12)よりNup98の相手としてHOXC11遺伝子を単離した。 転座型急性リンパ性白血病(ALL)の新鮮検体を用いて、転座の相手による発現の相違をDNA Chipを用いて検索し、下流の標的遺伝子を探索した。t(4;11)15検体、t(11,19)6検体、t(5;11)2検体および対照としてt(12;21)6検体、t(1;19)3検体からRNAを抽出し、Affymetrix社のDNA Chip(12,000個)により発現プロファイルの解析を行った。t(4;11)のみ発現している遺伝子が10種、t(11;19)のみに発現している遺伝子が12種みられ、両方に共通して発現がみられる遺伝子がFLT3,HOXA9,HOXA10等15種にみられた。興味あることにMLL再構成のある21検体中予後による発現パターンの相違がみられ(P=0.01)、転写因子のRUNX2が予後良好群で、CDP遺伝子が予後不良群で高発現を示した。また21例で共通して発現が高かったFLT3遺伝子の変異を調べたところ、4例(18%)で変異がみられた。これらの遺伝子の発現を定量reverse transcriptase (RT)-PCRでチェツクしたところ、ほぼアレイの発現と一致していた。MLL再構成例の共通の標的遺伝子および転座相手の相違によるMLLのキメラ遺伝子の下流の標的遺伝子の相違を探索するため、これらの遺伝子を詳細に検討し、共通する下流遺伝子をしぼる作業を進めている。
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