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2002 年度 実績報告書

筋ジストロフィー症のための造血細胞を用いた筋再生療法に向けた基盤技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 14370246
研究機関京都大学

研究代表者

平家 俊男  京都大学, 医学研究科, 助教授 (90190173)

研究分担者 足立 壮一  京都大学, 医学研究科, 助手 (10273450)
依藤 亨  京都大学, 医学研究科, 講師 (60220779)
キーワード筋ジストロフィー症 / 骨髄細胞 / 骨格筋 / satellite細胞 / 幹細胞 / GFP / single fiber culture / ラミニン
研究概要

我々はGFPトランスジェニックマウスの骨髄細胞を放射線照射した成体マウスや、前処置を行わないW/Wv新生児マウスに移植することにより、その骨格筋における細胞の分布、増殖などの動態を実体蛍光顕微鏡を用いて解析した。GFP陽性筋肉細胞が移植後10日目頃に数多く観察された。この時期では、未だ骨髄においてはドナー細胞が占める比率は少量である。このことにより、移植した細胞が骨髄を経て筋肉再生に関与するというよりも、移植後、直接節肉組織へ生着し、分化する可能性が示された。しかし、このGFP陽性筋繊維は時間の経過とともに衰退し、移植後30日には可視的には観察できなくなった。しかし、この時期の筋肉組織より1本の節繊維を分離し、in vitroで培養して詳しく観察すると、1本の筋繊維の周辺に、GFP陽性の筋繊維が出現する現象が観察された。従来より、ラミニン層下筋肉組織表面にはsatellite細胞という筋肉幹細胞が付着していることが知られている。我々の行ったsingle fiber cultureはこのsatellite細胞の動態を観察する実験系であることが、従来より確立されており、出現する筋繊維は、satellite細胞に由来することが証明されている。我々の実験で観察されるGFP陽性の筋繊維は、satellite細胞に由来して分化したと考えられるとともに、そのsatellite細胞は移植されたKSL細胞に由来することが示唆された。従って、我々の実験結果は、長期の観察により、移植した造血幹細胞がsatellite細胞に形質転換することを示唆した。これらの我々の観察は、移植骨髄細胞が、短期の筋肉再生過程のみならず、長期の筋肉再生過程にも関与することを示唆するとともに、筋ジストロフィー症などの難治性筋疾患に対して、将来、骨髄細胞を用いた新しい治療戦略が開発され得る可能性を期待させる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Heike T et al.: "Ex vivo expansion of hematopoietic stem cells by cytokines"Biochemica et Biophysica Acta. 199 2. 313-321 (2002)

  • [文献書誌] Ito M et al.: "NOD/SCID/γ_c^<nell> mouse: an excellent recipient mouse model for engraftment of human cells"Blood. 100. 3175-3182 (2002)

  • [文献書誌] Hiramatsu H et al.: "Complete reconstitution of human lymphocytes from cord blood CD34^+ cells using the NOD/SCID/γ_c^<nell> mice model"Blood. (in press).

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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