• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

ヒト神経芽腫の増殖、分化、生存とアポトーシスの制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 14370250
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

杉本 徹  京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (90117888)

研究分担者 細井 創  京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (20238744)
キーワードヒト神経芽腫 / 増殖 / 分化 / アポトーシス / 神経栄養因子 / レチノイド / Fenretinide
研究概要

現在まで、我々はヒト神経芽腫(NB)の増殖と分化に果たす神経栄養因子の役割を検討し、(1)NBでのNGFまたはBDNFのシグナルは、TRK-AまたはTRK-B、Shc、ERK-2などのシグナル伝達蛋白のチロシン燐酸化を介する経路で伝達される(Jpn J Cancer Res 1994, Acta Pedaitr Jap 1998, Med Pediatr Oncol 2000)、(2)TRK-AはNBの分化に、TRK-Bは増殖に関係しているらしい(Jpn J Cancer Res 2001)ことを明らかにしてきた。今回はFenretinide(FR)のNBのアポトーシス誘導を研究した。
【目的】FRは、細胞にアポトーシスを誘導し、臨床応用が期待されている新規合成レチノイドであるが、その作用機序はまだ完全に解明されていない。最近、ストレス応答性シグナル伝達路であるJNK,p38 MAPKシグナル路の持続的活性化とアポトーシスとの関連が注目されている。そこで、NB細胞株において、FRによるストレスシグナルの活性化について検討した。
【方法】当施設で樹立されたヒトNB細胞株のうち、FR感受性株としてKP-N-TKを、耐性株として、KP-N-TKをFR存在下で培養して樹立したKP-N-TK(FR-R)株とKP-N-SIFAを用いた。これらを10μMのFR存在下で培養した際のアポトーシスをTUNEL法とwestern blot法(WB)によるcaspase活性化で評価した。細胞内活性酸素種(ROS)の経時的変化を、蛍光dyeであるCM-H2DCFDAを負荷したフローサイトメトリーで検討した。WBにて、JNK,p38 MAPKの燐酸化を検討した。
【結果】FRはKP-N-TK細胞において、ROS依存性にJNK,p38MAPKを持続的に活性化し、アポトーシスを誘導した。一方、KP-N-TK(FR-R)とKP-N-SIFAにおいては、FRによる細胞内ROS誘導とJNK,p38 MAPKの持続的活性化が生じていなかった。
【考案・結論】FR感受性NB細胞株では、FRによるROS依存性のJNK,p38 MAPK持続的活性化が、アポトーシスと関連していることが示唆された。一方、FR耐性NB細胞株では、FR存在下でもこのシグナル伝達が生じておらず、このことがFR耐性と関連していると考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] S.Osone, T.Sujimoto et al.: "Fenretinide induces sustained-activation of JNK/p38 and apoptosis in ROS-dependent manner in neuroblastome cells"Int J Cancer. (accepted). (2004)

  • [文献書誌] Y.Kuwahara, T.Sugimoto et al.: "Antitumer activity of Gefitinib in malignant rhabdoid tumor cells"Clin Cancer Res. (revised). (2004)

  • [文献書誌] T.Goto, T.Sugimoto et al.: "Prediction of NYC amplification in neuroblastoma using serum DNA and real-time quantitative"Clin Cancer Res. (revised). (2004)

  • [文献書誌] F.Saito-Ohara, T.Sugimoto et al.: "PPMD1D is a potential target for 17q gain in neuroblastoma"Cancer Res. 63. 1876-1883 (2003)

  • [文献書誌] A.Misawa, T.Sugimoto et al.: "Rapamycin inhibits proliferation of human neuroblastoma cells without suppression of NYCN"Int J Cancer. 104. 233-237 (2003)

  • [文献書誌] 杉本 徹(分担): "小児疾患診療のための病態生理、神経芽腫"東京医学社. 1234-1240 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi