研究課題/領域番号 |
14370252
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50056909)
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研究分担者 |
津田 隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50188554)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (90167255)
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60160595)
伊東 建 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50276995)
鈴木 英明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20206519)
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キーワード | 遺伝性脳白質変性症 / 動物モデル / 遺伝子治療 |
研究概要 |
遺伝性脳白質変性症の遺伝子治療に関する基礎的研究として本年は動物モデルマウスを用いてその可能性を検討した。クラッベ病はガラクトセレブロシダーゼ活性低下により脳内にサイコシンが蓄積する結果、著明な脱髄を病理学的特徴とする遺伝性脳白質変性症の代表的疾患である。この動物モデルとしてtwicher mouseが知られている。ガラクトセレブロシダーゼcDNAを組み込んだアデノウイルスベクターを作成して、twicher mouseの脳室内の注入して生化学的並びに病理学的変化を検討した。治療マウスにおいては脳内のサイコシンは正常レベルまで低下するとともに、脱髄所見が改善された。この効果は遺伝子導入後4週間まで持続した。以上の結果はクラッベ病における遺伝子治療の可能性を示唆するものであった(Shen JS, Eto Y et al. Gene Ther 2001,8:1081-1087)。さらに、クラッベ病は乳児期に発症するため出生前の遺伝子治療が必要と報告されている。この可能性を検討するためtwicher mouseの子宮内胎児脳内にLacZcDNAを組み込んだアデノウイルスベクターを投与した。その結果、在胎14日に投与したものでは注入部位のみならず嗅脳、脳室周囲にLacZに染色される細胞が観察された。その他の投与日ではこの現象は認められなかった。以上より、出生前の遺伝子治療においては投与日が重要であり、また導入遺伝子は脳内に広がることが確認され出生前遺伝子治療の可能性を示唆していた(Shen JS, Eto Y et al. Gene Ther 2002,9:819-823)。
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