研究課題/領域番号 |
14370256
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
飯塚 一 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90113513)
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研究分担者 |
山本 明美 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30241441)
高橋 英俊 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00216748)
中村 哲史 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20292112)
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キーワード | ダリエー病 / 小胞体 / カルシウムポンプ / 角化 |
研究概要 |
ダリエー病は小胞体カルシウムポンプ遺伝子ATP2A2の変異により発症する角化異常症である。ATP2A2の転写産物であるSERCA2b(sarcoendoplasmic reticulum calcium-ATPase type 2b)はATPを加水分解し、カルシウムを細胞質から小胞体内腔へ輸送する。われわれは現時点で報告のある変異のうち、ナンセンス変異以外の点突然変異を有するSERCA2bを51種類全て作成した。さらにこれらを内因性SERCA2b活性のないCos1細胞に導入し機能解析を行うシステムを確立した。51種類中、15種類はSERCA2bの発現そのものが低下していた。これはおそらく異常なSERCA2b蛋白が品質管理の過程で分解されてしまい、その結果、これらのグループはSERCA2bについてはstop codonによるナンセンス変異のようにふるまっているものと推定した。残りの31種類のうち21種類はカルシウムポンプ機能と共役するATPase活性が完全に消失していることが明らかとなった。さらに残りの8種類はATPase活性はあるもののカルシウムポンプとの間の機能的uncouplingがおきているmutantであることが明らかとなった。したがってポンプ機能は遂行できず、エネルギーの無駄な消費のみがおこっていることになる。興味深いことにこのタイプのmutantはATPase活性消失型mutantと比べ全体的に症状が強い傾向がみられた。おそらくATPの無駄な消費が、他の細胞機能にも影響を及ぼしているものと推定している。最後の3種類については昨年度の報告書に詳しくまとめており省略する。これらの検索の過程でSERCA2bの異常の部位には、いわゆるhot spotに相当するものはなく、SERCA2bは機能的にあらゆる部位が重要な、極めて分子進化の遅い蛋白であることが明らかとなった。
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