1)VII型コラーゲン発現ベクターの作成 データベースよりVII型コラーゲン遺伝子(COL7A1)プロモーター領域約4000塩基対の塩基配列を検索し、ヒト末梢血単核球由来DNAをテンプレートにPCRを用いてCOL7A1プロモーターをクローニングした。このプロモーター下流にVII型コラーゲンcDNAを接続し、ウイルスプロモータに比較して生理的状態に近いVII型コラーゲン発現調節を期待できるVII型コラーゲン発現ベクターを作成した。 2)NC1-フィブロネクチン・キメラ蛋白発現ベクターの作成 ヒトVII型コラーゲンNC1ドメイン・ヒトファイブロネクチンのキメラ蛋白発現ベクターを作成した。この発現ベクタープラスミドDNAをヒト培養ケラチノサイトに導入し、ウエスタンブロッティングにて予想されるサイズの蛋白の発現を確認した。 3)マウスに対するヒトVII型コラーゲン免疫寛容誘導 ヒトVII型コラーゲン遺伝子発現ベクターを、マウスの胎児皮膚へ超音波を用いて導入し、発現を確認した。このマウスの出生後にヒトVII型コラーゲン発現ベクターを皮膚に導入し、抗VII型コラーゲン抗体産生の有無をウエスタンブロット法にて検討した。その結果、遺伝子導入効率にばらつきがあるものの、約40%のマウスでヒトVII型コラーゲンに対する免疫寛容が誘導されることが明らかとなった。 4)生体皮膚への新規遺伝子導入法開発 ヘアレスラット皮膚の角層バリアーをグリコール酸で除去したのち、DNA溶液中で超音波を照射することにより、生体皮膚に高効率に遺伝子導入が可能であることを明らかにした。また、吸引水泡を形成した後、水泡内にDNA溶液を造影剤と共に注入し、超音波を照射することにより、水泡蓋表皮内に遺伝子導入が可能であることを明らかにした。この方法により、先天性表皮水庖症の遺伝子治療が可能になると考えられる。
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