研究課題/領域番号 |
14370259
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
板見 智 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30136791)
|
研究分担者 |
乾 重樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30324750)
小澤 健太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50301255)
佐野 榮紀 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80273621)
|
キーワード | 組織再生 / 毛周期 / 毛乳頭細胞 / 男性型脱毛 / 男性ホルモンレセプター / TGF-β1 / 細胞成長因子 |
研究概要 |
毛器官は生体で最も小さな組織の一つであるが、生涯にわたり毛周期と呼ばれる再生と退縮のプロセスを繰り返す生体唯一の組織でもある。毛器官は、主に外胚葉由来の上皮系毛包と中胚葉に由来する結合織性毛包により構成されており、これらの組織間相互作用により毛器官の発生と再生がなされる。ヒトの毛周期に影響を与える代表的な転写因子としては男性ホルモンレセプターが良く知られているが、我々は間葉系細胞である毛乳頭細胞が男性ホルモンの標的細胞であることを明らかにしてきた。そして今回、毛乳頭細胞と上皮系細胞である外毛根鞘細胞の共存培養による毛成長in vitroモデルを確立した。すなわち髭や男性型脱毛の前頭部毛乳頭細胞に男性ホルモンレセプターを強制発現させ角化細胞と共存培養すると、髭毛乳頭細胞を用いた場合には男性ホルモンは角化細胞の増殖を促進するが、男性型脱毛の前頭部毛乳頭細胞では逆に角化細胞の増殖を抑制した。この結果はin vivoにおける毛の男性ホルモン感受性を良く反映していた。さらにこの抑制作用は男性型脱毛の前頭部毛乳頭細胞が男性ホルモン依存性に分泌するTGF-β1によることを明らかにした。分泌されたTGF-β1はほとんどが活性型であり、男性ホルモンはTGF-β1遺伝子の活性化のみならずTGF-β1蛋白の活性化機構にも影響を与えることが明らかとなった。これらの結果は長い間不明であった男性型脱毛の発症メカニズムを明らかにすると共にその治療に新しい戦略を提供しうると考えられる。
|