デスモコリン1-3の有核細胞発現cDNAクローンをCOS-7細胞に発現させ、蛍光抗体法で観察し、デスモコリン1-3に反応するIgAを有する天疱瘡があることを示した。IgA天疱瘡にはIEN型とSPD型があるが、免疫電顕を用いた検索により、SPD型のIgA天疱瘡のIgAは、デスモソーム部に反応するのに対して、IEN型は、デスモソーム部以外の細胞膜に反応することが判明した。また、IgG/IgA天疱瘡では、多くの血清が、デスモグレイン1/3とデスモコリン1に反応性し、免疫電顕でも、デスモソーム部に反応することが示された。基底層直上に棘融解性の水庖形成を認める大家系から、ゲノムDNAを得て、デスモグレイン3の遺伝子異常を考えて、変異の検索をしたが、検出できなかった。その後の検索で、この家系では、ダリエー病の原因である、SERCA2をコードするATP2A2遺伝子の変異が検出された。表皮の最上層で皮膚剥離を示す1症例では、デスモソームの異常による可能性が考えられたが、各種の遺伝子検索で、表皮上層に発現するケラチン1遺伝子の最もC末端側にヘテロの遺伝子変異を検出した。デスモソーム部に存在するエンボプラキン、ペリプラキンの各種のリコンビナント蛋白を作成し、多くの腫瘍随伴性天疱瘡血清が、これらのリコンビナント蛋白に反応することが示された。私共は、デスモヨーキンのノックアウトマウス作成に成功した。誕生したノックアウトマウスの皮膚を形態学的、細胞生物学的な手法で検索し、デスモヨーキンの表皮細胞接着に及ぼす影響を生体内で観察したが、はっきりした異常は見られなかった。さらに、そのマウスから得たケラチノサイトを細胞培養し、その細胞を用いてデスモヨーキンの表皮細胞接着に及ぼす影響を細胞レベルで検討したが異常は見られなかった
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