研究分担者 |
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
清野 泰 京都大学, 医学研究科, 助手 (50305603)
玉木 長良 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30171888)
関 興一 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (60094835)
横田 千晶 国立循環器病センター, 研究所・病因部・脳血管障害研究室, 室員 (80300979)
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研究概要 |
本研究では、分子生物学的研究にインビボ分子イメージングの手法を組み入れ、(1)局所脳虚血病態に対するシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の組織障害性作用と脳組織再生作用を解析し、COX-2の作用とその阻害薬の役割を明らかにすること、及び、(2)COX-2を標的とした分子イメージング法による脳虚血病態診断の可能性を探ることを目的とし、以下の検討を行った。 1.ラット局所脳虚血モデルにおける炎症関連遺伝子群の経時的発現変動 ラット局所脳虚血モデルにおいて、CBF低下、虚血時間とCOX-2を含めた炎症関連遺伝子群の発現変動との関連について検討した。今回検討した遺伝子群の経時的発現パターンは以下の通りである。虚血1時間で発現誘導されたのは,c-fos、IL1β,IL6,腫瘍壊死因子α(TNFα),COX-2,プロスタグランジンE2合成酵素(mPGES),MAP kinase phosphataseであった。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は3時間で誘導され,6から12時間で顕著に増加した。核内受容体PPARαは虚血とともに増加することなく2時間から減少し,24時間ではほとんど消失した。このように、ラット局所脳虚血モデルにおいて、COX-2を含めた炎症関連遺伝子群の発現は虚血時間にともなって大きく変動することを示し、それらの発現パターンを明らかにした。 2.COX-2を標的とした分子イメージング法に関する検討 構造-活性相関学的検討から、選択的COX-2阻害薬であるCelecoxibのヨウ素置換体(IMTP)をデザインし、昨年度までに標識前駆物質の合成に成功した。今回、IMTPの分子イメージング剤としての有用性を検討した結果、IMTPがCOX-2に対して高い選択性と阻害活性を有することを見い出し、その放射性ヨウ素標識に成功した。
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