研究課題/領域番号 |
14370274
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
藤林 康久 福井医科大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
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研究分担者 |
古川 高子 福井医科大学, 高エネルギー医学研究センター, 助教授 (00221557)
川井 惠一 金沢大学, 医学部, 教授・客員教授 (30204663)
伊藤 春海 福井医科大学, 医学部, 教授 (40026943)
今野 卓 福井医科大学, 医学部, 助教授 (50225637)
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キーワード | Cu-64 / β線 / 超小型サイクロトロン / がん / 内部照射治療 / Hypoxia |
研究概要 |
治療に適した放射性Cu同位体としてCu-64を選択し、病院内超小型サィクロトロンによる製造システムを構築した。同時に、原料となるNi-64の金ディスクへの電着システム、Ni-64の再回収システムを構築した。金ディスクに電着したNi-64をプロトン照射し、生成したCu-64をNi-64とともに濃硝酸にて溶解後、イオン交換樹脂カラムにて分離した。塩酸溶液として回収されたNi-64は、塩酸留去後電気炉にて加熱酸化しNiOとして回収再利用した。Cu-64は最終的に生理的に緩和な200mM Gly溶液として得られた。これをATSM溶液と混和するのみで、98%以上の標識率で低酸素親和性薬剤であるCu-64-ATSMを調製することができた。 得られたCu-64-ATSMによる細胞障害性について培養腫瘍細胞を用いて基礎検討を行った。Cu-ATSMは細胞集積後速やかに代謝を受け、核やミトコンドリアに移行することなくサイトゾルに滞留したことから、細胞障害性は飛程の小さいオージェ電子ではなくβ線によるものと考えられた。β線の飛程がミリメータレベルであることからCu-64-ATSMを取り込んだ細胞のみでなくその周辺細胞へも障害効果が及ぶことが期待された。またコメットアッセイならびにアポトーシスマーカーによる検討により、数回の分裂後にアポトーシスを起こす緩やかな細胞障害であることが示唆された。 これとは別に、ウサギVX2腫瘍モデルを用いて、Cu-ATSMの腫瘍内集積を解糖系マーカーであるFDGと2核種同時投与により比較した。Cu-ATSMが腫瘍のもっとも増殖の活発な細胞群に集積したのに対して、FDGはその内側にある障害を受けた細胞群に高く集積し、低酸素マーカー集積と解糖系マーカー集積とに不一致が観察され、腫瘍細胞のエネルギー代謝と血流に関する新しい解釈が必要であることが示された。
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