研究課題
目本の社会情勢の変化に伴い、近年、うつ病の罹患率が増加傾向にあり、その原因の解明と治療法の確立が重要となっている。脳内でのセロトニン代謝がうつ病を含めた精神疾患に関与しているという報告は多いが、セロトニンの脳内合成率や受容体の機能の解明はまだ充分には行われていない。本研究では、セロトニン合成能および受容体機能の定量測定の簡便化と、動物実験でのセロトニン作動性神経系の機能解明および臨床応用を目指して、基礎実験とヒトでのPET検査を行っている。前年度の報告において、セロトニン合成能の定量測定の簡便化について報告したが、今年度は受容体機能をセロトニン作動薬投与における脳血流量の変化を通して測定、検討をおこなったので、以下に報告する。健常成人11名を対象に、酸素15標識水を用いたPET検査にて脳血流量(CBF)および動脈-毛細血管血液量(Vo)を測定した。測定はセロトニン受容体1B/1D作動薬服用前、服用40-80分後(10分間隔)の任意の3点で行なった。CBF、Voとも服用前と比べ、最大13%の低下を示した。CBF、Voの最大作用発現時間は、それぞれ服用60、55分後であり、服用80分後には服用前の値に戻っていた。セロトニン受容体1B/1D作動薬は、脳大血管の血管収縮によるCBF、Voの低下をもたらし、その回復は脳小血管におけるCBF低下時の自動調節に関与しないことが示唆された。
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