研究課題/領域番号 |
14370286
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
早渕 尚文 久留米大学, 医学部, 教授 (20108731)
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研究分担者 |
戸田 幸博 久留米大学, 医学部, 助手 (80217512)
淡河 悦代 久留米大学, 医学部, 講師 (20204729)
大島 孝一 福岡大学, 医学部, 助教授 (50203766)
鈴木 弦 久留米大学, 医学部, 助手 (80279182)
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キーワード | MALTリンパ腫 / 新WHO分類 / 頭頸部初発 / 予後因子 / 胃MALTリンパ腫 / H. Pylori / 放射線単独治療 / 多施設共同研究 |
研究概要 |
MALTリンパ腫の性質を明らかにするために1983年から1999年までに九州大学病院と久留米大学病院で治療された頭頸部初発のI期とII期の287例の全てについて先ず病理標本を新WHO分類に従い見直した。その結果、MALTリンパ腫は29例で、全体の約10%を占めることがわかった。もっとも多い組織型はびまん性大細胞型のB細胞リンパ腫で186例(約64%)を占め、濾胞性リンパ腫24例やMK/Tリンパ腫17例などより多く、MALTリンパ腫は2番目に多い組織型であることがわかった。治療成績をみると、MALTリンパ腫は他のどの組織型よりもよく、他病死を含むOverall survival rateは5年、10年とも80%を越えていることがわかった。一方、組織型以外にも頭頸部初発のI期とII期のリンパ腫では、腫瘍の大きさ(6cm以上)、年齢、血清LDH、PS、病期、などが予後因子になることがあきらかになり、また放射線単独治療群80例と放射線治療+化学療法併用治療群207例とには治療成績に差がないことがあきらかになった。このような新しい知見を2002年9月のヨーロッパ放射線腫瘍学会(ESTRO)で発表し、またInt J Radiat Oncol Biol Physにも投稿し、受理された。 一方、胃MALTリンパ腫は多施設共同研究を行い、H. Pylori除菌治療を行い、効果がないか、不十分なものに放射線単独治療を行うことにした。非MALTリンパ腫と合わせ、2002年8月までに100例の登録があった。このうち、MALTリンパ腫は45例で非MALTリンパ腫が55例であった。MALTリンパ腫は放射線単独治療で全例完全寛解が得られ、局所再燃はなく、1例だけが肺門部から再燃した。この症例を含め全例生存中で3年生存率は100%であることがわかった。この結果は2002年12月の消化器病学会九州地区例会のシンポジウムと2003年2月の悪性リンパ腫治療研究会で発表した。
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