研究課題/領域番号 |
14370288
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
武井 教使 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80206937)
|
研究分担者 |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
磯貝 聡 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20311706)
河合 正好 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30283352)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
キーワード | 統合失調症 / 遺伝負因 / ハイリスク / 産科的合併症 / MRI / 脳形態学的測定 / 神経心理学的変数 |
研究概要 |
親族内に統合失調症(旧名:分裂病)者を有し、本人は非罹患者である、いわゆるハイリスク群を対象に、まず統合失調症の危険因子として確立されている産科的合併症(obstetric complications, OCs)を有する率を、健常対照群と比較した。その結果、健常群に比較し、ハイリスク群はOCs率が高いことが確認された。とりわけ、統合失調者を父に持つハイリスクにおいても、OCs率が増加しており、これは統合失調症の病態形成に関連する遺伝子が子に伝達され、それが脆弱因子となり、OCsを発現させることを示唆するものであり、注目される所見である。しかしながら、OCs評価のために活用した母子手帳の入手は比較的容易であるが、非罹患者から研究への参加のインフォームドコンセントを得ることに困難を来たし、実際の面接による子細な聴取、及び神経心理学的検査、さらにはMRIを用いた脳形態学的測定などすべてを完了するには、もう数年の継続的な研究期間の必要性が生じている。 そこで、まず統合失調症の遺伝要因との関連から、その病態発現に遺伝的要因の関与が高いとみなされている早期(小児期及び思春期)発症の統合失調症例に着目し、脳の形態学的測定、及び神経心理学的測定を実施し、相互に関連する変量の解明にあたった。その結果、健常群に比較し、統計学的有意な脳灰白質及び白質の体積減少が認められた。また、統合失調群内において、実行機能をみるWisconsin Card Sorting Testのスコアー(保続エラー)と関連する脳部位の検証をvoxel-based morphometry法を用いて行ったところ、言語領域である左側側頭葉の体積と負の相関が確認された。すなわち、実行機能の障害が顕著であるほど、側頭葉体積の減少が著しいという結果である。これらの結果は、国際専門誌に投稿予定である。
|