レビー小体型痴呆の臨床的・基礎的研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14370293
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 小阪 憲司 横浜市立大学, 医学部, 教授 (60023800)
• 研究分担者: 三浦 恵 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (60157427) ; 井関 栄三 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (30203061)
• キーワード: レビー小体型痴呆 / レビー小体 / アルファ・シヌクレイン / タウ / 神経原線織変化 / 幻視 / 脳画像

研究概要

臨床的には、レビー小体型痴呆(DLB)の視覚認知障害に焦点を当て、DLBでは特有な幻視・錯視・変形視・人物誤認・カプグラ症状などが特徴的であることを示し、これらは黒質-扁桃核路の障害によるドパミン過感受性の結果起こる扁桃核-視覚野の機能異常によると推察した。さらに、MRIでは側頭葉内側の軽〜中等度萎縮がみられ、SPECTでは側頭・頭頂・後頭葉の血流低下がみられたが、後頭葉の血流低下は半数あまりでみられるのみで、DLBで特徴的というほどではないことを示した。
病理学的には、種々の免疫染色を使用して、扁桃核を含む大脳のLewy pathologyを詳細に検討し、DLBはLewy pathologyから4stageに分類され、扁桃核-辺縁系-新皮質の順にLewy pathologyが進展し、Alzheimer病変を有する例はstage3・4に相当することを明らかにした。さらに、海馬でのLewy小体と神経原線維変化(NFT)の出現状態から、両者の好発部位が異なること、前者はCA_<3-4>に、後者はCA_2にまず起こり、その後で支脚-CA_1に出現すること、さらに、DLBでは神経細胞のみならず、しばしばグリア細胞にもtauの沈着があり、また時にはtau陽性のargyrophilic grainsもみられ、神経細胞内のもの(NFTやpretangle)は3＆4 repeat tau、グリア内のもの(tuft-shaped astrocytes, astrocytic plaques, coiled bodiesなど)やgrainsは4 repaet tauからなることを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] 小阪 憲司: "レビー小体型痴呆"綜合臨床. 51・1. 100-104 (2002)
• [文献書誌] 小阪 憲司: "レビー小体型痴呆の診断と治療"臨床と研究. 49・6. 65-70 (2002)
• [文献書誌] Kosaka K: "Neuropathology of dementia with Lewy Bodies"Advances in Behavioral Biology. 51. 477-481 (2002)
• [文献書誌] Iseki E: "Relationship in the formation process between neurofibrillary tangles and Lewy bodies in the hippocampus of dementia with Lewy bodies brains"J Neurol Sci.. 195. 85-91 (2002)
• [文献書誌] Iseki E: "Immunohistochemical study of synuclein-1 in brains of patients with dementia with Lewy bodies"Neurosci Lett.. 326. 211-215 (2002)
• [文献書誌] Iseki E: "Psychiatric symptoms typical of patients with dementia with Lewy bodies"Acta Neuropsychiatrica. 14. 237-241 (2002)
• [文献書誌] 丸井和美: "レビー小体型痴呆患者にみられる精神症状の特徴"臨床精神医学. 36・6. 657-664 (2002)
• [文献書誌] Marui W: "Progression and staging of Lewy pathology in brains from patients with dementia with Lewy bodies"J Neurol Sci.. 195. 153-159 (2002)
• [文献書誌] 小阪 憲司: "「痴呆疾患の治療ガイドライン」レビー小体型痴呆の治療"ワールドプランニング. 95-99 (2003)