レビー小体型痴呆の臨床的・基礎的研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14370293
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 三浦 恵 横浜市立大学, 医学研究科, 助教授 (60157427)
• 研究分担者: 小阪 憲司 横浜市立大学, 医学部, 名誉教授 (60023800) ; 井関 栄三 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (30203061)
• キーワード: レビー小体型痴呆 / アルツハイマー型痴呆

研究概要

臨床研究:
まず、レビー小体型痴呆(DLB)の疫学について、剖検例での検討を行い、文献報告と比較研究した。DLBは痴呆例の18%で、アルツハイマー型痴呆(ATD:43%)、血管性痴呆(23%)に次いで三番目に多く、DLBは二番目に多いという外国の文献と若干の違いがあった。また、剖検により診断が確定した症例の検討で、DLBでもパーキンソン病と同様に自律神経症状が目立つことを報告した。治療の研究としては、DLBではATD以上に脳のacetylcholineが低下していることから、ATDの治療薬として承認されているdonepezilの効果をみるために、三施設で治験を試み、13例のデータを現在分析中であり、近いうちに論文発表の予定である。
病理学的研究:
まず、1978年に小阪が報告した皮質型レビー小体の成長・消退過程を免疫組織学的に再検討し、以前の所見を再確認し、レビー小体が神経細胞死と密接に関連することを明らかにした。また、免疫組織学的にDLB脳では神経細胞のRNA oxidationが目立ち、またサイトカインやmetric oxidesynthaseの発現がみられることを明らかにした。また、DLBの大脳皮質や海馬領域ではtyrosine hydroxylase陽性の神経細胞が変性しやすいことを明らかにし、報告した。
「今回の研究結果について、平成15年10月にイギリスで開催された第3回DLB国際ワークショップで小阪が発表した」

研究成果

• [文献書誌] Iseki E: "Dementia with Lewy bodies from the perspective of tauopthy"Acta Neuropathol. 105. 265-270 (2003)
• [文献書誌] Katsuse O: "Immunohistochemical study of the expression of cytokines and metric oxide synthases in brains of patients with dementia with Lewy bodies"Neuropathology. 23. 9-15 (2003)
• [文献書誌] Nunomura A: "Neuronal RNA oxidation is a prominent feature of dementia with Lewy bodies Clin Neurosci Neuropathol"Clin Neurosci Neuropathol. 13. 2035-2039 (2003)
• [文献書誌] Murai W: "Degeneration of tyrosine hydroxylase-immunoreactive neurons in the cerebral cortex and hippocampus of patients with dementia with Lewy bodie"Neurosci Lett. 340. 185-188 (2003)
• [文献書誌] Katsuse O: "Developmental stages of cortical Lewy bodies and their relation to axonal transport blockage in brains of patients with Lewy bodies"J Neurol Sci. 211. 29-35 (2003)
• [文献書誌] Horimoto Y: "Autonomic dysfunction in dementia with Lewy bodies"J Neurol.. 250. 530-533 (2003)
• [文献書誌] 小阪憲司: "レビー小体型痴呆の治療痴呆患者の治療ガイドライン(中村重信編)"ワールドプランニング. 95-99 (2003)