研究概要 |
転写制御の観点から血液細胞の分化制御およびlineage switchを分子レベルで検討するため、骨髄球系特異的な転写因子であるC/EBPα,C/EBPε,PU.1をエストロゲンレセプターのリガンド結合領域と融合させ、4-hydroxytamoxifen依存的に転写因子活性が誘導できる分子(C/EBPα-ER, C/EBPε-ER, PU.1-ER)の作成を試みた。まずマウスエストロゲンレセプターのリガンド結合領域をPCRで増幅このリガンド結合部位に変異を導入(G525→R)し内在性のエストロゲンに反応せず4-hydroxytamoxifen(4-HT)にのみ反応して活性化するように改変した。この変異エストロゲンレセプターリガンド結合領域をC/EBPα,C/EBPε,PU.1のC末に融合させ、4-HTにより活性が誘導されるC/EBPα-ER, C/EBPε-ER, PU.1-ERを作成した。このようにして作成した活性誘導型転写因子が期待通りに働くことを確認するため、これらをpMX-IRES-GFPレトロウイルスベクターにサプクローニングし、ウイルスを作成してBaF3細胞に遺伝子導入した。このようにして樹立したBaF3/CEBPα-ER, BaF3/CEBPε-ER, BaF3/PU.1-ER細胞は4-HTで刺激で細胞増殖が急激に抑制され、一部はアポトーシスをおこして死滅した。このことより、作成したER融合転写因子は期待通りに機能していることが確認された。 以上で作成したコンストラクトからトランスジェニックマウスを作成するため、インサートをH-2Kプロモーターの下流にサブクローニングした。さらにこれらのうちまずH2K-C/EBPα-ERとH2K-ERから発現ユニットを切り出し、マウス胚の核内にマイクロインジェクション、FOマウスの出生を待っている。
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