サイトカイン依存性アポトーシスを制御するBcl-2ファミリー因子のうち中心的な存在であるBimの発現を制御するシステムの解明を目指し、研究を進めている。これまでのわれわれやオランダのグループの成果により、mRNA発現レベルの調節であることに疑問の余地は少ないが、転写調節であるか、mRNA寿命調節であるかについては決着を見ていない。オランダのグループは転写調節であると結論付けているが、そのデータはやや信憑性に欠け、サイトカイン欠乏時のBimメッセージの大きな変化を説明できるようなものではないと思われる。nuclear run off assayによりまずこのいずれかを決定すべく検討を重ねたが、発現レベルが比較的弱いこともあって、現時点までに確信を持てる結果が得られていないので、われわれは転写調節と寿命調節の両面から検討を進めた。転写調節を想定して、定法通りBim遺伝子前後200Kbにわたって5ケ所のDNAse高感受性領域を決定し、これらの領域をレポーターコンストラクトに組み込んでアッセイを行うことにより、プロモータ/エンハンサ/サイレンサ領域の決定を試みた。転写開始点より上流700bpに非常に強い転写促進活性を、第一イントロンに強い転写抑制活性を認めたが、いずれもサイトカイン依存性ではなかった。そこでさらにサイトカイン依存性のシス領域を求めて検討を進めている。また寿命の観点からも検討を進めており、3'非翻訳領域を中心に、寿命を調節する領域の単離を試みている。一部の領域がサイトカイン依存性に寿命を調節することに関与している感触を得ているが、十分に説得力のあるデータとはいい難く、なお検討を進めている段階である。
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