研究課題/領域番号 |
14370305
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
河野 道生 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40161343)
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研究分担者 |
津山 尚宏 山口大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10335747)
小幡 雅則 山口大学, 医学部, 講師 (80158831)
石川 秀明 山口大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40294623)
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キーワード | 骨髄腫細胞 / IL-6 / CD45 / CD19 / ラフト / 未熟型骨髄腫細胞 |
研究概要 |
ヒト骨髄腫細胞は、正常形質細胞と全く異なり、CD45分子を発現しているものは少ないし、CD19を全く発現していない。CD45およびCD19分子は共に膜受容体共役分子であり、増殖因子IL-6の受容体からのシグナル伝達に深く関わり合いを持っているものと考えられる。実際、CD45分子を発現している(CD45+)未熟型骨髄腫細胞のみが増殖因子IL-6に接的に反応して増殖できる。 本年度は、IL-6刺激後CD45分子がどのようにIL-6受容体分子と膜上で相互作用するかを、レーザー・共焦点顕微鏡下で観察した。骨髄腫細胞株U-266において、CD45+細胞株あるいはCD45-細胞株にCD45分子のアイソフォーム(CD45RB, CD45RO)遺伝子を導入した細胞株を調整した。IL-6受容体α(IL-6Rα)は、IL-6刺激前からラフトに局在していた。CD45+U-266細胞において、CD45分子はCD45RB, CD45ROとも、刺激前はラフとの外であるが、IL-6刺激後10〜20分後にはラフト内部へと移動した。このことは、ショ糖密度勾配でも確認された。同様なことは、CD45RB遺伝子導入U-266細胞においても観察された。CD45分子のラフト内部への動きは、プロテインキナーゼLynのリン酸化の動態と一致していた。 一方、骨髄腫細胞株U-266(CD19-)にCD19遺伝子を導入した細胞(CD19+U266)では、IL-6非存在下で著明な増殖制が観察された。CD19+U266細胞にCD45分子を発現誘導すると、そのIL-6に対する反応にはCD19存在による明らかな制効果は認められなかった。詳細な機構については解析を進めている。 以上、骨髄腫細胞のIL-6による増殖において、膜受容体共役分子であるCD45やCD19がIL-6受容体からのシグナル伝達を調節していることが明らかになった。
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