研究課題/領域番号 |
14370306
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大保 和之 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70250751)
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研究分担者 |
吉田 松生 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60294138)
須田 年生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118453)
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キーワード | 生殖幹細胞 / 造血幹細胞 / 細胞表面蛋白 / ニッチ |
研究概要 |
これまでの研究で、生殖幹細胞、造血幹細胞特異的に発現する2つの分子の遺伝子を単離した。1つ目の分子は接着因子でtight junctionで働くことが予想された。2つ目の分子は、構造からセリンプロテアーゼインヒビターに属する蛋白と予想され、細胞膜上でセリンプロテアーゼと拮抗して作用すると考えられる。今年度は、抗体を用いた発現部位を詳細に解析し、遺伝子欠損マウスの作出に集中して行った。 (1)接着因子IGSF5:mRNAの発現は、造血幹細胞、精巣以外の組織では、腎臓、肝臓において強く認められた。胎生期では、Whole embryoを用いたmRNA発現解析では、胎生後期17日目から発現が認められた。そこで本分子に対する特異的抗体を作成し免疫染色を行った。精巣では、生後1週目では生殖細胞膜全体に、生後10日目では、生殖細胞の一部に限局して局在していた。Tight junction蛋白の1つであるZO-1との2重染色を行うと2つのシグナルは重なることから、本分子は、精巣においてtight junction蛋白として機能していることが示唆された。腎臓では糸球体に限局した発現が認められた。 (2)セリンプロテアーゼインヒビター:WAPドメインをN末、C末にもち、それをliker配列が介在する構造を取っている。この分子の発現は、成体では腎臓、肺に認められ、胎児のwhole embryoでの発現は認められない。免疫染色にて、腎臓では尿細管上皮、肺では、肺胞、気管支上皮、気管支軟骨において発現が認められた。目的とする精巣では、生後10日目までは生殖細胞細胞膜に局在が認められるが、成体においては検出されなかった。 (3)両分子とも現在ノックアウトマウス作出のためのベクター構築、ES細胞を用いての標的遺伝子組み替えが終了し、マウスを作出中であり来年度解析予定である。
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