研究概要 |
AAVを利用した遺伝子導入法の基盤テクノロジーとして、以下の研究を行った。 1.AAVベクターの構築(血清型/プロモーター)と組織特異性に関する検討:AAV-1,AAV-2,AAV-3,AAV-4及びAAV-5に由来する各カプシドを持ったベクターを作製するため、それぞれ専用のAAVヘルパープラスミドを構築した。プロモーターに関しては、CMV, CAG, EF-1α, PGK由来のものを検討した。レポーター遺伝子と.しては、エリスロポエチン(Epo)遺伝子を用いた。各ベクターをマウスに筋注あるいは門脈内注射し、血中Epo濃度の測定によりAAVベクターの構築を評価した。その結果、骨格筋を標的とした場合はAAV-1ベクターが、門脈内投与ではAAV-5ベクターとCAGプロモーターの組み合わせが、最も効率良かった。 2.AAVのコンポーネント(ITR配列とRep遺伝子)を利用した第19番染色体部位特異的遺伝子組込み(TVI)法の開発:細胞毒性のあるRepを造血系細胞で一過性に発現させ、マーカー遺伝子をAAVS1領域へ組み込ませるシステムの開発を進めた。Rep発現誘導型アデノウイルスベクターについては、P5プロモーターとRep遺伝子の間に、1oxP配列で挟んだstuffer配列を配置したベクタープラスミドの構築を行った。アデノウイルスベクターによる造血系細胞への遺伝子導入に関しては、アダプター分子(CAR-SCF)の利用を検討した。これは、アデノウイルス受容体であるCAR(coxackievirus adenovirus receptor)の細胞外領域とSCF細胞外領域をリンカーで連結した融合ポリペプチドである。CAR陰性c-Kit陽性の細胞株MO7eを用いた実験で、CAR-SCFを培養液に添加することにより遺伝子導入効率が著しく改善することを確認した。
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