研究概要 |
Peroxisome Proliferator Activated-Receptor gamma (PPAR-γ)に関する分血管子生物学的研究を総括するとともに、生理学的応用や臨床での知見応用を試みた。すなわち、PPAR-γ活性化によってTXトロンボキサン(TX)合成酵素アンジオテンシンAT1受容体遺伝子発現の抑制がもたらされるのみならずTX受容体発現も抑制されることを見出しJ.Biol.Chem.(277:9676-9683,2002)に報告した。又さらにPPAR-γの作用には共役因子の関与もありPPAR-γはこれらと相互作用をしながら遺伝子発現を抑制していることを見出した。レチノイン酸は核受容体のリガンドであるが、この遺伝子作用としてTX受容発現抑制作用があることを見出した。一方、生理作用としてはPPAR-γのリガンドであるチアゾリジン誘導体の生理作用として腎血管弛緩作用があり、それは二相性を呈し遅相にはPPAR-γのgenomic作用が関係していることを示唆しJ.Amer.Soc.Nephrol.(13:342-349,2002)誌上に報告した。さらに、チアゾリジン誘導体による糖尿病治療の患者において血中ナトリウム利尿ホルモン(BNP)が増加する群がありPPAR-γ活性化と何らかの関係が推測されJ.Clin.Endocrinol.Metab.(88:3993-3996,2003)に報告した。本研究プロジェクトは、従来の遺伝子転写研究から臨床へのトランスレーションをはかる架橋的試みである。腎電解質関係の研究としてはミネラルコルチコイドのアルドステロンが腎尿細管作用により腎電解質代謝を行っているのみならず腎血行動態を介してもこれを行っている可能性が示された。
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