研究概要 |
CLCクロライドチャネルファミリーのうちのCLC-3,4,5は、細胞内膜系クロライドチャネルであることを示すデーターが集まりつつある。われわれも、CLC-3ノックアウトマウスを作成し、その形質、特にラーソゾーム酵素のカテプシンDの欠損マウスとの類似性を指摘し、CLC-3がライソゾーム、ないし後期エンドソーム内の酸性環境維持に重要な働きを担っていることを示してきた。 今回、1)CLC-3はユビキタスに発現しているにもかかわらずノックアウトマウスで障害のでる部位は海馬、網膜、小腸とかぎられる理由を、CLC-4,5による機能相補の観点から検討した。まずこれら3つチャネルは互いに相同生が高く、特異的な抗体作成が困難であることから各種タグを付けたCLC-3,4,5の発現ベクターを構築し、培養細胞系で発現させ、細胞内局在後外、ヘテロオリゴマー形成の有無を検討している。2)また、細胞内蛋白分解系のみならず、CLC-5で言われているエンドサイトーシスの障害の有無を検討するためノックアウトマウスより細胞系の立ち上げ、行っている。今のところ、骨髄よりマクロファージの培養が実験系に耐えうる細胞として単離できるようになり。この細胞を用いて、エンドサイトーシスの障害の有無、ライソゾームでの蛋白消化の障害の有無、等を探っている。3)マウスにみられた行動異常の分子基盤を探るため、脳内ドーパミンレセプターのバインディングアッセイをおこなった。その結果、バインディングアフィニティーの低下がノックアウトマウスで顕著で、シナプスでのドーパミン濃度を高める薬剤投与による、正常マウスでみられるアフィニティーの変化がノックアウトマウスでは消失しており、2)のレセプターエンドサイトーシス過程での障害が示唆された。
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