研究課題/領域番号 |
14370320
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
宮本 賢一 徳島大学, 医学部, 教授 (70174208)
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研究分担者 |
瀬川 博子 徳島大学, 医学部, 助手 (70325257)
伊藤 美紀子 徳島大学, 医学部, 助手 (50314852)
桑波田 雅士 徳島大学, 医学部, 講師 (30304512)
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キーワード | FGF23 / phosphate / kidney / phosphatonin / receptor |
研究概要 |
無機リン酸(以下リン)は生体のエネルギー代謝、細胞膜の構成成分あるいは、カルシウムとともに骨格の形成など生体機能維持に必須のイオンである。しかしながらカルシウム代謝調節に関与する多くの分子の発見に比べて、リン代謝代謝系は全く明らかにされていない。最近、我々はリンの調節系を新規リン調節ホルモン系やリン応答転写因子の存在を解明した。そこで、本年度はリン代謝ホルモンファミリー(Phosphatonin,別名FGF23)のin vivoにおける役割を検討した。まず、ヒトFGF23の蛋白分解を受けない、変異型FGF23R179Qを作製し、Nacked DNA injection法を用いて、マウス尾静脈より、体内に導入した。この方法により、ヒトFGF23変異型蛋白が、マウス肝臓で多量発現するのを確認した。次に、血中FGF23変異型の濃度を検討した結果、1000倍のFGF23変異型濃度の上昇が確認された。これらの、トランジェニックマウス(FGF23TG)を用いて、腎尿細管におけるリン再吸収能の変化を調べた結果、type IIa Na/Pi cotransporterおよびtype IIc Na/Pi cotransporter遺伝子の発現低下と、両蛋白質の細胞膜での発現減少が確認された。さらに、ビタミンD代謝酵素の合成酵素の著しい減少と分解酵素の誘導が確認された。以上より、FGF23の生理学的作用は、血中活性型ビタミンD濃度の減少に加えて、血中リン濃度の低下作用にあることがin vivoで証明された。よって、FGF23は生体で分解を受ける、新しいリン代謝ホルモンであり、腎不全治療において高リン血症治療に有用な因子であること考えられた。
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