トランスジェニックマウスを用いたプロスタシンの機能解析

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14370321
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 冨田 公夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40114772)
• 研究分担者: 北村 健一郎 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (10304990)
• キーワード: Naチャネル / 高血圧 / 腎 / 尿細管 / セリンプロテアーゼ

研究概要

プロスタシンを過剰発現させたトランスジェニックマウスを作成し、プロスタシンの高血圧・Na代謝における役割および腫瘍発生における関与を個体レベルで解析することにある。具体的には1)ヒトゲノムBACクローンライブラリーをスクリーニングし、ヒトプロスタシンゲノムを含むBACクローンを単離する。2)制限酵素とパルスフィールド電気泳動およびサザンブロッティングを用いてヒトプロスタシンゲノムの制限酵素地図を作成する。3)制限酵素地図にもとづきゲノムDNA断片を精製する。4)マウス受精卵雄性前核にプロスタシンゲノムを注入し、トランスジェニックマウスを作製する。トランスジェニックマウス作製は本学動物資源開発研究センターの協力して行う。5)プロスタシン過剰発現マウスの生理学的解析、薬理学的解析および病理学的解析を行い高血圧・Na代謝におけるプロスタシンの意義および腫瘍発生における関与について検討する。
1.ヒトプロスタシンゲノムのBACクローンの単離および制限酵素地図の作成
私たちはヒト腎臓cDNAライブラリー(市販品)よりdegenerate RT-PCRを用いてヒトプロスタシンcDNAを単離した。このcDNAを用いてヒトゲノムBACクローンライブラリーよりfilter hybridization法を用いてヒトプロスタシンゲノムを含んだBACクローンを3つ単離した。これらのクローンを増幅・精製し、種々の制限酵素による切断後、パルスフィールド電気泳動およびサザンブロッティングを行ってヒトプロスタシンゲノムBACクローンの制限酵素地図を作成した。得られた制限酵素地図にもとづいて約15〜50kbpの長さで十分に5'および3'領域を含むプロスタシンのゲノムDNA断片をパルスフィールド電気泳動法により分離・精製し、ゲノム断片をコスミドまたはファージにサブクローンしている。
2.ヒトプロスタシン発現トランスジェニックマウスの作製
現在進行中である。

研究成果

• [文献書誌] Narikiyo T., et al.: "Regulation of prostasin by aldosterone in the kidney"J.Clin.Invest.. 109. 401-408 (2002)
• [文献書誌] Kurokawa K, et al.: "Antiproteinuric effect of candesartan cilexetil in patients with chronic glomerulonephritis"J.Renin-Angiotensin-Aldosterone Sys. 3. 167-175 (2002)
• [文献書誌] Iwashita, K., et al.: "Inhibition of prostasin secretion by serine protease inhibitors in the kidney"J.Am.Soc.Nephrol. 14. 11-16 (2002)
• [文献書誌] Shiraishi, N., et al.: "Increased endothelin-1 expression in the kidney in hypercalcemic rats"Kidney Int.. 63. 845-852 (2002)
• [文献書誌] Okumura Y, et al.: "Cloning and characterization of a transmembrane-type serine protease from rat kidney, a new sodium channel activator"Biol Chem.. 384. 1483-1495 (2003)
• [文献書誌] "Two male siblings with hereditary renal hypouricemia and exercise-induced ARF"Am.J.Kid.Dis.. 42. 1287-1292 (2003)