研究概要 |
1.ダウン症関連遺伝子SIM2,DSCR4,MNB/DYRK1A遺伝子転写調節機構の解析:T98Gグリオブラストーマを用いてプロモーター推定領域を含む欠失変異体や推定シスエレメントの突然変異体を作製し、デュアルルシフェラーゼアッセイやゲルシフトアッセイにより先に報告したc-myb様シスエレメントに加えてE2F,CAATシスエレメントがSIM2転写調節に関与していることを明らかにした。c-myb, C/EBPβ、C/EBPε抗体を用いたクロマチン沈降法により、特異的にSIM2プロモーター領域の存在を確認した。DSCR4遺伝子発現調節に関しては絨毛癌由来細胞を用いてプロモーターを同定し、OLF1結合配列が重要であった。MNB/DYRK1Aのプロモーター領域の同定を行った。転写開始点は翻訳開始点の上流nt-848,SP1及びOct1結合部位に変異がある時にプロモーター活性が低下し、c-myb結合部位に変異がある場合活性の上昇が見られた。2.SIM2、SIM1蛋白の新規核移行シグナル:SIM2、SIM1ORFや各ドメインごとのGFP融合遺伝子プラスミッドを作製し、HeLa細胞などにトランスフェクションし、蛍光顕微鏡下で観察した。核移行に必要十分な最小領域はSIM1ではaa368-388の21個、SIM2ではaa367-389の23個の領域であった。23個のうち21個のアミノ酸の部位特異的変異体を検討したところ、Arg367,Lys373,Pro385,Tyr386をグリシンまたはアラニンに変異した場合核局在に大きな変化が見られた。3.SIM2蛋白の標的遺伝子群の同定:SIM2、SIM2/ARNT2恒常発現細胞と親細胞由来RNAを用いてデイファレンシャルデイスプレイ法を行った。差が見られた36個の遺伝子について半定量的RT-PCR解析を行い28個について発現の差を確認した。4.CpGアイランドにおけるメチル化の状態と発現調節:MNB/DYRK1A遺伝子プロモーター領域に存在するCpGアイランドのメチル化の状態を健常人とダウン症患者由来細胞のゲノムDNAを用いてPCRによって検討した。5.DSCR4恒常発現細胞を樹立した。
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