研究概要 |
1.ダウン症関連遺伝子(SIM2,DSCR4,MNB/DYRKiA)のプロモーター解析と転写調節因子の同定:先に培養細胞を用いてSIM2遺伝子の転写にc-myb, C/EBP結合部位が重要であることを明らかにしたが、今回ヒトSIM2プロモーター領域2.2kbを組み込んだトランスジェニックマウスを作製し、胎仔における発現を解析した。胎生8.0日で上部腸管、耳胞、手肢先端に発現が見られたが、耳胞における発現は10.5日、手肢先端における発現は14.5日に消失した。一方DSCR4遺伝子を発現する絨毛癌由来細胞JEG3,BeWoを用いてOLF1結合配列が転写に重要であることを示した(論文準備中)。2.SIM2/ARNTヘテロダイマー形成に関して蛍光顕微鏡、免疫沈降法を用いて解析した。先に決定した核移行シグナルを欠くSIM2はARNTまたはARNT2の共導入によって核移行した。SIM2-ARNTの結合にPAS1,PAS2ドメインが、SIM2-ARNT2の結合にはPAS2ドメインが必要であった。(論文準備中)。3.SIM2蛋白と相互作用する蛋白の同定:SIM2,ARNT遺伝子強制発現細胞株を樹立し、AffinixQによる解析を行って、新しいパートナーの発現を目指している。4.SIM2蛋白の標的遺伝子の同定:SIM2遺伝子強制発現細胞株と親細胞から抽出したRNAを用いてDifferential Display法を行った。60個分余りの候補遺伝子について半定量的及び定量的RT-PCRを用いて確認し、現在2個の遺伝子(HAS2,HLCS)に注目して、プロモーター解析を行っている。5.CpGアイランドにおけるメチル化の状態と発現調節:MNB/DYRK1A遺伝子のエキソン1とその上流のプロモーター領域にわたって存在しているCpGアイランドのメチル化の状態を正常ヒト細胞とダウン症患者由来細胞のゲノムDNAを用いてPCRによって検討した。nt-1018〜-831領域において正常細胞ではメチル化された箇所がダウン症細胞ではメチル化されていなかった。6.SIM2タンパクは細胞内でポリユビキチン化され、その反応はIBRドメインを有するRING型E3リガーゼが関与していることを見出した。(論文投稿中)。
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