研究概要 |
家族性中枢性尿崩症と同じ変異遺伝子を有したノックイン(KI)マウスを作製する目的で、マウスバゾプレシン(AVP)遺伝子上に存在するneurophysinの67番目のCysteinがstop codonに置換された変異型マウスAVP遺伝子を作製した。この変異型AVP遺伝子を挿入して構築されたKIターゲティングベクターをマウスES細胞に導入して、約1,000株のG418耐性株を樹立した。サザンブロット法により、これらの細胞株から相同組み換えが行われたES細胞株を選択した。これらの相同組み換えES細胞株にCre発現ベクターを導入して一過性に発現させ、KIされた変異型マウスAVP遺伝子発現に影響を与えることが懸念されるPGK-Neoセレクションマーカーを除去し、変異型AVP遺伝子のKI-ES細胞株を樹立した。これらのKI-ES細胞株をC57BL/6系統マウスのブラストシストに注入してキメラマウスを作出し、そのうちES細胞の寄与の高い雄性キメラマウスを野生型C57BL/6雌性と交配させて、F1マウスを得た。F1マウスの毛色判定から、注入されたKI-ES細胞株がこのキメラマウスの生殖系列細胞に分化したことが確認された。今後、このキメラマウスから産まれたF1マウスのジェノタイピングを行って、変異型AVP遺伝子がKIされたヘテロ変異マウスを選別し、ホモ変異マウスを作出する予定である。また変異NPの細胞内輸送を検討するためには変異NPのみを認識する抗体が必要である。そのために変異NPの断端を含んだ合成ペプチドでウサギを免役し、ポリクローナル抗体を作製中である。またその抗体の特異性はウエスタンブロット法で確認する予定である。
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