研究課題/領域番号 |
14370328
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
千原 和夫 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00107955)
|
研究分担者 |
飯田 啓二 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80324911)
置村 康彦 神戸大学, 医学部, 助教授 (30204100)
|
キーワード | 成長ホルモン / 成人成長ホルモン欠損症 / 老化 / ミトコンドリア |
研究概要 |
加齢に伴い成長ホルモン(GH)分泌は減少し、筋力低下、骨粗鬆症、高脂血症、動脈硬化の早期発症、その進展に伴う心血管合併症の増加などの諸症状、所見を引き起こす可能性が最近指摘されている。一方、末端巨大症患者では耐糖能低下、心血管系の異常などをきたし生命予後やQOLはかえって損なわれている。これは、GHの標的臓器が多岐にわたること、また同一標的臓器に対しても濃度によってGHは異なった作用を示すことによると想像されているが、実際に個々の細胞に対してGHはどのような効果を発揮し、種々の相違する作用を示すのか明確ではない。そこで、本研究では、種々の臓器でGHによって発現が変動する遺伝子を同定し、GHの作用を明確にすることを目的に、次の検討を行なった。 I.GHによって発現が制御される遺伝子のDifferential displayによる同定 ラット血管平滑筋初代培養細胞からtotal RNAを抽出、これをもとにcDNAを作製、Differential displayを行なった。いくつかの既知、および未知の遺伝子発現がGHによって制御されることが明らかとなった。そのうちの1つはミトコンドリア遺伝子にコードされたmitochondrial cytochrome oxidase subunit II/IIIであり、GHはミトコンドリア遺伝子に対する転写因子であるmtTF1発現を増加させることにより、この遺伝子発現を活性化きせることが明らかとなった。この成績はGHが平滑筋のエネルギー代謝に関与する可能性を示唆するものである。 II.DNAマイクロアレイによるGHによって発現が制御される遺伝子の包括的検索 心筋からmRNAを抽出し、これをもとにcDNAを作製、GH刺激によって増減する既知の遺伝子を網羅的に検索した。トロポニン、ミオシン、アルドステロン受容体などの発現減少が観察された。 今後、肝、骨格筋、脂肪などGHの他の標的臓器についても同様の検討をおこない、ついでmRNAだけでなく、蛋白レベルでもこれらの遺伝子がGHにより変動するのか確認する予定である。さらにその変動の生理的意義を種々のin vito, in vivo系で評価したい。
|