研究課題/領域番号 |
14370330
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高柳 涼一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30154917)
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研究分担者 |
河手 久弥 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20336027)
大中 佳三 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30325518)
後藤 公宣 九州大学, 大学病院, 助手 (90284512)
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キーワード | 核内受容体 / ステロイドレセプター / 共役因子 / 三次元画像 / アンドロゲン / GFP / ポストレセプター / イメージング |
研究概要 |
本年度は各ステロイド受容体とそのAF-1、AF-2ドメイン、共役因子、その他のステロイド受容体と相互作用する蛋白因子について、高精細三次元画像解析システムによるリアルタイム細胞内局在と定量的観察及びFRAP、FRET法により機能解析を行い以下の成績を得た。 1.AR、GR、TRβ、ERαに関して共役因子複合体権成成分との相互作用について、前年度に引き続き、さらに解析を進めた。新たにステロイド受容体と相互作用する核内因子としてTob蛋白を同定した。Tobは細胞増殖抑制、アポトーシス誘導因子として発見されたが、新たにAR、GR、ERαと蛋白間の相互作用により、ステロイド受容体の機能を抑制するcorepressorであることが、ルシフェラーゼレポーターアッセイ、機能的画像解析、GST pull down assayにより判明した。また、新たに、AR、GRのcoactivatorとして同定した因子がステロイド受容体のfociやsplicing factor compartmentとは異なる粗なdotとして核内に局在し、ARの活性化と共にARのfociに移動する現象を捉えることができた。このことは転写の活性化が核内に因子毎に規定されたcompartmentより動員されることにより引き起こされることを推定させるものである。 2.ステロイド産生細胞の発生、分化とステロイド合成P450酵素の発現に必須のAd4BP/SF-1の転写活性化能はPKAによって増強されることが従来より知られているが、その分子機構はこれまで不明であった。高精細三次元画像解析システムにより以下の成績が得られた。1)Ad4BP/SF-1はTFTC型複合体の構成成分であるGCN5、TRRAPと共にPKA刺激下にfociを形成しその転写活性化能が上昇する。2)DAX-1はAd4BP/SF-1と結合しその転写活性化能を抑制することが知られているが、PKA刺激によってAd4BP/SF-1とDAX-1の相互作用が、減弱することがFRAP解析により判明した。このように生細胞のリアルタイムイメージングによる機能解析はこれまでの生化学的手法では得られない情報を得ることができる。 3.T3不応症、多毛症患者の皮膚線維芽細胞における受容体以降の転写活性化経路の異常の有無を解析するために各ステロイド受容体と蛍光蛋白のキメラを組み込んだアデノウィルスベクターを作成、患者の皮膚線維芽細胞に大量導入するシステムを確立した。
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