研究分担者 |
平井 完史 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (80312578)
檜尾 好徳 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10282071)
宮城 妙子 宮城がんセンター研究所, 生化学部門, 部長(研究職) (50006110)
石原 寿光 東北大学, 医学部附属病院, 助手
片桐 秀樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00344664)
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研究概要 |
ガングリオシド特異的に働く形質膜シアリダーゼ遺伝子過剰発現マウス(TGマウス)が著明なインスリン抵抗性を伴う糖尿病を示すことを見出した.さらに,このインスリン抵抗性の機序として,ガングリオシド糖鎖異常(GM2蓄積)により,インスリン受容体チロシンキナーゼ活性が特異的に阻害され,シグナル下流のIRS-1チロシンリン酸化,IRS-1-associated PI3 kinase活性化が阻害され,インスリン作用が低下する機序を見いだした.(Suzuki S, Miyagi T. Impaired insulin signaling in mice overexpressing membrane-associated ganglioside sialidase. J Biol Chem submitted).また,マウス形質膜シアリダーゼ遺伝子構造を決定し,同遺伝子欠損マウス(KOマウス)を作成した.現在,その表現型の解析を進めているところである.高脂肪食負荷で正常マウスは耐糖能の悪化を来したが,KOマウスは正常マウスに比し,耐糖能が有意に良好であった.シアリダーゼが生体においてインスリン感受性を低く規定することが明らかになった.KOマウスのインスリン抵抗性改善の機序として,正常マウスに比し,GM2蓄積は軽度であり,インスリン受容体チロシンキナーゼ活性がより高く,シグナル下流のIRS-1チロシンリン酸化,IRS-1-associated PI3 kinase活性化が阻害も軽度であった.インスリン作用障害が改善する機序が見いだされた. 次年度は,TGマウスとKOマウスを用いて,形質膜シアリダーゼ遺伝子の糖尿病発症機構における役割をさらに詳細に解析する. 2型糖尿病患者において本遺伝子の変異を検索した.2型糖尿病患者で正常者に比べて有意に高頻度で,かつインスリン感受性とも相関を示す遺伝子多型を同定した.さらに患者解析を進め,これらの遺伝子多型とガングリオシド糖鎖異常,さらに2型糖尿病の発症との関連性を明らかにしてゆく予定である.
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