研究課題
基盤研究(B)
我々は、各種モデル動物(Zuckerラット、高脂肪食負荷ラット、高血圧モデル動物など)の肝臓、筋肉、脂肪組織を用い、組織におけるシグナル伝達解析について検討し報告した。しかし、従来の方法(組織の可溶化から免疫沈降)といった方法では、血管内皮のような局在する少数の細胞におけるシグナル伝達異常を検出することは困難であると感じ、今回、我々は多数の蛍光センサーを用いた単一細胞シグナル伝達モニターリングシステムを構築した。このような蛍光センサーについても以前、インスリンによるIRS-1リン酸化を可視化できるシステムの開発を成功させた経験がある。これはIRS蛋白とPI3-キナーゼの結合を、intactの状態で計時的に観察することを可能にし(Nature Biotech.2002)、分析化学の分野でも大きな反響を生んだ。今回、細胞内のPIP_3量、細胞内AMP量、Akt活性化、eNos活性化、細胞内cGMP量をintactな単一細胞で測定できるFRET反応を用いた各種の蛍光センサーが作製された。また、我々はごく最近、新たなRELMをクローニングすることに成功し、これをRELMγと名付けた。つまり、レジスチン及び関連蛋白としてはマウスには4つのアイソフォームが存在する。臓器分布としては、レジスチンとRELMαも脂肪組織に最も多く発現しているのに対しRELMβは腸、特に大腸に豊富に発現している。今回、我々が新規にクローニングしたRELMγも腸管に発現が限定されている。つまり、脂肪組織と消化管とは、それぞれを2種類のアイソフォームを分泌しているのである。消化管に発現するRELMβとRELMγは免疫染色によって分布を検討したところ、発現している細胞がかなり共通していた。そのため、この2つのアイソフォームはhomodimerの他、RELMβとRELMγから構成されるheterodimerも形成され、分泌されることが判明した。
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