研究課題/領域番号 |
14370341
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
河盛 隆造 順天堂大学, 医学部, 教授 (00116021)
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研究分担者 |
井上 正宏 大阪府立成人病センター研究所, 部長 (10342990)
田中 逸 順天堂大学, 医学部, 助教授 (40276499)
綿田 裕孝 順天堂大学, 医学部, 講師 (60343480)
橋都 浩哉 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90261289)
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キーワード | 膵β細胞 / 膵微小循環 / 糖尿病 / VEGF-A / Cre recombinase / インスリン |
研究概要 |
膵β細胞におけるブドウ糖応答性インスリン分泌における膵ラ氏島内微小循環の重要性を検討するために膵β細胞特異的VEGFノックアウトマウスを用いた。方法としてはインスリンプロモーターの制御下にCre recombinaseを発現するようにデザインされたトランスジェニックマウス(RIP-Cre)とCre recombinase存在下にVEGFの発現が阻害されるようにデザインされたノックインマウス(VEGF-lox)を交配し、RIP-Cre-VEGF-lox/loxマウスを得た。このマウスにおいては約90%の膵β細胞でVEGFの発現が認められなかった。この影響で膵島内の血管内皮細胞数、微小血管の減少が顕著に認められた。しかし、膵ラ氏島の形態変化に関して、光学顕微鏡レベルの観察では変化がないことが明らかとなった。また、,各種ホルモンの免疫染色を行った所、膵島の層構造に異常はなかった。以後、このRIP-Cre-VEGFlox/loxマウスをコントロールのVEGFlox/loxマウスと比較することにより、膵島微小循環の耐糖能における影響を検討した。これらマウスの8週齢、12週齢における体重変化はこの2群のマウスで少なくとも12週齢までは、有意な差を認めていない。腹腔内にブドウ糖を注入することによりこの両群のマウスの耐糖能を評価した。その結果少なくとも、8週齢においてこの2群間で有意な差は認められなかった。しかし興味深いことに、この際のインスリン分泌を測定すると、VEGFlox/loxマウスで認められる急性のブドウ糖応答性インスリン分泌反応がRIP-Cre-VEGFlox/loxマウスにおいては完全に消失していた。次に、インスリン抵抗性を測定するために腹腔内にインスリンを注入しインスリン作用を検討したが、両群間で有意な差は認められなかった。
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