研究課題/領域番号 |
14370343
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研究機関 | (財)動物繁殖研究所 |
研究代表者 |
日下部 守昭 財団法人動物繁殖研究所, 実験動物研究センター・主席研究 (60153277)
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研究分担者 |
橋本 尚詞 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (80189498)
石川 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30089784)
外尾 亮治 財団法人動物繁殖研究所, 実験動物研究センター, 主任研究員 (80156992)
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キーワード | II型糖尿病 / インスリン分泌細胞 / 疾患モデルマウス / KKAyマウス / グルカゴン分泌細胞 / ネスチン / 細胞再生 / サブトラクションライブラリー |
研究概要 |
1.II型糖尿病関連遺伝子の探索のため、糖尿病発病前後(6、10週)のKKAyマウスと10週の正常マウスの膵臓から夫々mRNAを調整し、これらよりサブトラクションライブラリーを作成した。各サブトラクションライブラリーから各々約1500コロニー、合計約6000コロニーを分離し、1ライブラリー当たり約250個、合計で約1000個のプラスミドをシークエンスし、ホモロジー検索を行った。現在、各クローンの病因との関連について検討中である。 2.BALB/cA-CSAコンジェニックマウスを用いてES細胞の樹立を目指した。現在、細胞株の安定化の為の培養を継続中である。 3.糖尿病発症前後KKAyマウス、8週齢(尿糖-)および12週齢(尿糖+)の膵臓の形態学的解析を行った。その結果、このマウスの膵島は8週で既に肥大していた。これは機能更新したインスリン分泌細胞(B細胞)の増生によるものであった。一方、膵島内におけるグルカゴン分泌細胞(A細胞)は減少傾向を示したが、膵島外組織で多数出現し、細胞小塊を形成するものもあった。12週では、膵島中心部でのB細胞の退行と辺縁部における機能亢進像が観察された。電顕観察からこの退行像はネクローゼであることが解った。このような膵島内の変性とは反対に、膵島外組織においては多くのB細胞が小塊状に観察できた。ソマトスタチン分泌細胞や膵ポリペプチド分泌細胞は、各膵導管上皮や腺房細胞間に多く出現し、AおよびB細胞と細胞小塊を形成するものも観察できた。一方、膵組織に囲まれた総胆管上皮には、膵島外組織よりも各内分泌細胞が多く観察された。特に、総胆管上皮下の結合組織内にネスチン陽性の膵内分泌細胞の小塊が多数出現していた。これらの観察は、KKAyマウスでは、内分泌細胞の変性によって、代償性に膵導管系および総胆管系から内分泌細胞が再生して、膵島の新生が起こっていることを強く示唆している。
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