研究概要 |
gradient分離法、密度勾配法(パーコール)により分離した小肝細胞を用いて、昨年度に引き続き以下の検討を行った。 1.小肝細胞の増殖性 70%肝切除後のBrdU up-takeは、1日目がピークとなり以後漸減したが、成熟肝細胞に比して高値を持続した。細胞数は、2日目に最低値となったが以後急増し5日目がピークとなり、小肝細胞の増殖活性が高いことが示された。 2.小肝細胞の倍数体解析 flowcytemetry解析では、成熟肝細胞に比して2n x 2,2n細胞が有意に多く、4n細胞が有意に少なかった。70%肝切除後には2n細胞が急激に減少し成熟肝細胞への移行が推定された。 3.小肝細胞体内移植実験 無アルブミンラットへRetrorsine投与70%肝切除後に小肝細胞の門脈内投与を行ったところ、血中アルブミンの上昇を認め、肝内に約60%を占めるアルブミン陽性肝細胞の出現を認めた。 4.小肝細胞スフェロイドの作製 10%FCSを添加したWilliams'E培地を用いた振盪培養法(67rpm)では、3時間で細胞集合を認め、6hで20〜60μm、9hで30〜75μmの小肝細胞スフェロイド作製が可能であった。33rpm,100rpmでの小肝細胞スフェロイド作製は認めなかった。 増殖能が旺盛な小肝細胞は倍数体解析の結果から成熟肝細胞に比較して未熟の細胞の集団であり、また、肝内投与で旺盛な増殖を示し、肝再生を必要とする条件下では成熟肝細胞へ発育しうる細胞ソースとしての可能性を認めた。また、小肝細胞スフェロイドの作製法が確立したことで、細胞移植や人工肝臓のリアクターへの細胞ソースとしての小肝細胞意義を示唆するものであった。
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