研究課題/領域番号 |
14370351
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中尾 昭公 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70167542)
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研究分担者 |
福田 吉秀 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40181284)
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 講師 (40271605)
鈴木 治彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90283431)
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60109759)
吉岡 健太郎 名古屋大学医学部附属病院, 講師 (60201852)
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キーワード | 空間制御 / 遠隔制御 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
遺伝子治療は、すでに数千例以上の患者に対して実施されているが、遺伝子導入法の未熟さゆえにいまだ有効性が証明されていない。本研究では、あたらしい遺伝子導入法として空間制御法及び遠隔制御法を導入し、我々が以前から行っている肝臓移植、肝癌などの肝臓疾患に対する遺伝子治療への応用を検討した。空間制御法として超音波及び高気圧療法を用いて検討した。ヒト肝臓癌細胞(Skhep1)及びマウス大腸癌細胞(colon26)を用いて、in vitroで超音波を用いた遺伝子導入を行った。DNAとして、LacZ, GFP cDNAを用いた。遺伝子導入効率は、超音波単独では5-7%であるが、microbubbleとの併用で、21-29%と著明に上昇した。Liposomeを用いた場合、遺伝子導入効率は、liposome単独で13-17%であったが、超音波との併用で26-30%と上昇した。次にIFNbeta cDNAを用いてin vitroでの抗腫瘍効果を検討した。ヒト肝癌細胞(Skhep1)は、nakedDNAで、マウス大腸癌細胞(colon26)はliposomeに包埋し用いた。抗癌剤として、CDDP,5FUを併用した。どちらの場合も、超音波併用で、著明な抗腫瘍効果を認め、また抗癌剤との併用で相乗効果を認めた。以上の検討から、in vivoモデルとして、ヌードマウス皮下腫瘍モデル(Skhep1)とマウス同所性肝癌モデル(colon26)を用いて超音波遺伝子導入法の有効性を検討している。同所性肝癌モデルをcolon26を用いて作成し、CDDP注射3日後に、liposome包埋IFNbeta遺伝子導入を超音波併用で行った場合、著明な抗腫瘍効果を認めている。次に高気圧療法の遺伝子導入における有用性に関して検討した。ラット腎動脈から、PEI(10ug/ml)とともにLacZ組み込みアデノウイルスベクター(1x10*9 PFU)を投与、5気圧30分の高圧酸素療法(HBO)を行った場合、HBO(-)に比べ、有意な遺伝子発現が認められた。今後、HGF遺伝子を用いて遺伝子発現と虚血再環流障害予防効果を検討する予定である。現在、遠隔制御法の予備実験として、マイクロロボットを用いた遺伝子導入法の検討を行っている。マイクロロボットによる遺伝子導入制御に、超音波などの空間制御法を応用する予定である。
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