研究課題/領域番号 |
14370351
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中尾 昭公 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70167542)
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研究分担者 |
水野 正明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70283439)
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 講師 (40271605)
鈴木 治彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90283431)
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60109759)
吉岡 健太郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60201852)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 空間制御 / 遠隔制御 / 遺伝子治療 / 再生 / 肝 |
研究概要 |
遺伝子治療は、すでに数千例以上の患者に対して実施されているが、遺伝子導入法の未熟さゆえにいまだ有効性が証明されていない。本研究では、新しい遺伝子導入法として空間制御法及び遠隔制御法を導入し、我々が以前から行っている移植、肝癌などの肝臓疾患に対する遺伝子治療への有用性を検討した。空間制御法として超音波を用い、肝癌遺伝子治療への有用性を検討した。ヌードマウス皮下腫瘍モデルとマウス同所性肝癌モデルを作成し、インターフェロンβ遺伝子を用いた。皮下腫瘍モデルには、naked DNAとマイクロバブル、同所性肝癌には遺伝子包埋リポソームを用いてそれぞれ超音波で遺伝子導入を行った。どちらのモデルでもインターフェロンβ遺伝子導入で抗腫瘍効果を認めた。また抗癌剤5FU、CDDPとの併用で著明な相乗効果が認められた。組織学的検討では、抗腫瘍効果のメカニズムの一つとしてアポトーシス誘導が示唆された。移植臓器への遺伝子導入法としてもっとも望ましいのは、臓器保存中に遺伝子導入を行い、この臓器を移植する手法である。しかし保存臓器への遺伝子導入は、低温低酸素短時間という制限された条件下であり、現存する遺伝子導入法では困難である。我々は空間制御法のひとつである高圧酸素療法を用いて有用性を検討した。アデノウイルスベクターを用い高圧酸素下に血管内皮細胞選択的に遺伝子導入を行った場合、低温低酸素短時間で良好な遺伝子発現を認めた。マウス皮膚移植モデルでCTLA4Ig遺伝子を用い動物実験を行った所、免疫抑制剤FK506との併用ですぐれた拒絶反応抑制効果を示した。最近骨髄幹細胞を用いた再生療法が虚血性心血管系疾患に対して臨床応用されている。我々はHGF遺伝子導入骨髄細胞を用いてラット急性肝不全に対する肝再生療法の有用性を検討したところ、HGF発現量に依存して肝修復が認められた。遺伝子導入法として、ウイルスベクターを用いる方法とともに、超音波併用遺伝子導入の有用性が示唆された。マイクロロボットによる遺伝子導入の基礎的検討として、超音波による遠隔制御の可能性を検討した。その結果、周波数250H2付近での最も優れた遺伝子導入効率が認められ、空間制御法を併用した新たな遺伝子デリバリーシステムの開発の可能性が示唆された。 以上の研究から、肝癌、移植、肝炎などの肝臓疾患を対象とする空間制御・遠隔制御による遺伝子治療法は新たな治療法として有用であると結論した。
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