研究概要 |
1)肝発癌モデルの作成(Solt and Farbar's model)を習得・円滑にすべく,8週齢のC57BL/6マウスにジニトロソアミンを投与し,さらに3週目に部分肝切除を加えて,13週後の発癌をGST-P免疫染色で確認した. 2)ヒト肝細胞癌(HCC)42例の凍結標本を用いて,IL-8の発現の生物学的・臨床的意義について検討した.RT-PCR法により,32例のHCC組織中にIL-8mRNAの発現を確認した.IL-8は癌組織内では,血管新生に関与することが指摘されてきたが,CD34免疫染色で確認した癌組織腫瘍血管の増勢程度とIL-8発現の明らかな関わりはみられなかった.一方,IL-8陽性群は,陰性群よりも,明らかに血管浸潤頻度が高く,さらにTNM Stageの進行したものが多かった.したがって,HCC内のIL-8発現は,腫瘍細胞のtransmigrationなどに関与し,より悪性化を進めることが示唆された.
|