研究概要 |
近年、膵ランゲルハンス島β細胞の増殖因子であるREG遺伝子が、消化器癌に発現し、癌の悪性度に関与していることが明らかとなりつつある。本研究は、消化器癌でのREG遺伝子とReg蛋白レセプターの発現の詳細を検討し、臨床病理および治療成績・予後との相関を検討し、Reg蛋白-Reg受容体系の癌細胞増殖進展への関与を明らかにすることを目的としている。平成14年度は以下のような研究実績を上げた。 1)各種培養癌細胞を用いた、REG遺伝子ファミリーメンバー・Reg蛋白受容体の発現の検討 ヒト消化器癌細胞株でのREG遺伝子ファミリー、REGIα,REGIβ,REGIIIα,REGIIIβ,REGIIIγおよびReg蛋白受容体の発現の検討を目的に、東北大学癌細胞保存施設に現有している各種消化器由来の培養癌細胞を入手し、細胞からRNAを抽出した。今後、ノーザンブロット法によりREG遺伝子ファミリーおよびReg受容体の発現の有無を検討する予定である。また定量的PCR装置を用いた、Reg遺伝子ファミリーおよびReg受容体の定量化に向けて、プライマーおよびTaqmanプローブの設計を行なった。 2)Reg蛋白受容体に対する抗体の作成 Reg蛋白に対する抗体を作成すべく、Reg蛋白受容体の抗ペプチド血清を作成している。 3)各種臨床検体を用いた、REG遺伝子発現・Reg蛋白受容体の発現の検討 申請者らが所有している各種消化器癌臨床検体および手術標本を用い、癌組織からRNAを抽出し、定量化PCRやノーザンブロット法による発現検討を行うべく、準備を進めた。また、Reg蛋白の発現が確認されている胆管細胞癌症例を特に重点的に、手術標本の収集に努めた。同時に凍結標本を作成し、今後のin situ hybridizationや上記抗体を用いた免疫染色を行うための準備とした。実際の臨床検体の収集の際には、患者より同意書を入手し、十分な配慮を行なった。
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